暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十三話 風雲
[2/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
」
「なるほど」
帝国は地球教団の潰滅には自信を持っていない。不確定要素が有るようだ。
「それで、地球教団とフェザーンの関係を表す物は有りましたか」
問い掛けると首を横に振った。
「現状ではまだ何も。教団の本拠は爆破されたためコンピューターは土砂に埋まったり破損したりしているそうです。オーディンに持ち帰り修復するそうですが……」
「微妙という事ですか」
私が後を続けるとレムシャイド伯が頷いた。少しの間、沈黙が落ちた。
「実際問題、フェザーンと地球が繋がっているというのは確かな事なのでしょうか? 可能性としては有ると思いますが……」
「……信じられませんかな」
「ペイワード自治領主閣下はフェザーンと地球教との繋がりを否定しています」
可能性は有る。しかし証拠は無いのだ。フェザーンと地球の繋がりが無い可能性も有るだろう。大体このフェザーンには地球教団の支部が無い。功利的で現実主義者のフェザーン人は宗教にそれほど関心を持たなかった。フェザーンは信徒獲得には不向きな所なのだ。
フェザーンにおける地球教の活動は極めて低調だ、フェザーン人の多くは地球教に脅威を感じていない。大方のフェザーン人は地球教が同盟、帝国で引き起こした騒乱を他人事のように思っている。では何故帝国がフェザーンと地球教の繋がりを主張するのか?
帝国はフェザーンを地球教の仲間とする事でフェザーン討伐を考えているのではないのか。帝国は同盟との戦いを欲している、きっかけが欲しいのだ。その導火線がフェザーンだろう。火をつけるのが地球教……。私にはこちらの方が可能性が高いように思える。
「元々自治領主閣下はワレンコフ元自治領主の下で補佐官を務めたにすぎませんでした。自治領主になる事を予定された方ではなかった。フェザーンにとっても地球にとってもこの一件は秘中の秘です。閣下が何も知らなかったとしてもおかしくは無い、違いますかな?」
「……」
真実を知っているだろうと思われる人物が一人いる。前自治領主アドリアン・ルビンスキーだ。だが現在ではルビンスキーの所在は不明だ。そして帝国はルビンスキーの居場所を知っている可能性が有る。彼の息子、ルパート・ケッセルリンクはオーディンに居るのだ。ルパートをオーディンに連れ去ったのは目の前にいる白狐だった。
「両者に繋がりが有るかどうかは確定していませんが地球教が逃げ込む先は現状ではフェザーンしかないのも事実です。帝国政府は地球教の残党がフェザーンに集結するのではないか、そして何らかの行動を起こすのではないか、それによってフェザーンが混乱しその中立性が損なわれるのではないか、そう考えています」
「……」
ぐいっとレムシャイド伯が身を乗り出してきた。
「同盟政府におかれては地球教の動きに十分に注意していただき
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ