第二章
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彼はとにかく脂っ気が多いものを頼んだ。揚げものやモツ、それに肉とチーズを合わせたもの等にだ。仁は冷奴やトマト等も食べつつ彼と焼酎を程々に飲んでいた。
そして次の日も新太郎と話した、二人は大学の構内のベンチに並んで座って話をした、新太郎は煙草を吸いつつ彼に言った。
「まあ昨日話したばかりだしな」
「わからないね」
「ああ、まだな」
その父の家系が代々早死にの理由がだ。
「わからないな」
「お袋さんから聞いた?」
「いや、まだだよ」
それもだというのだ。
「お袋働いてるからな」
「親父さんがいないからだね」
「ああ、頑張って働いてくれてな」
そうしてというのだ。
「俺を大学に通わせてくれてるよ」
「いいお袋さんだね」
「全くだよ」
言いながらだ、新太郎は今吸っている煙草を吸い終えて。
ベンチの傍の灰皿に吸殻を捨ててだ、すぐにだった。
もう一本出して吸う、煙草に火を点けてふうと煙を噴き出してから言った。
「だから俺もな」
「早死にはしたくないよね」
「絶対にな、恩返ししたいよ」
「じゃあ是非ね」
「ああ、長生きしてな」
そうしてというのだ。
「恩返ししないとな」
「その通りだね」
「本当に親父の家系代々早死にだしな」
煙草を吸いつつ言うのだった。
「何とかしないとな」
「そうだね、ところでね」
「ところで?どうしたんだ?」
「いや、前から思ってたけれど」
新太郎と一緒にいてだ、どう思っていたかというと。
「新太郎ってよく煙草吸うよね」
「一日大体な」
「大体?」
「二箱吸うな」
それ位、というのだ。
「多い時で三箱な」
「三箱って」
「講義の間は仕方ないにしても」
流石にこの時は吸わない。
「バイトの時も休憩時間とかはな」
「吸ってるんだ」
「ずっとな」
「居酒屋でも吸うよね」
「吸える店だとな」
「それで大体なんだ」
「二箱な」
一日にそれだけ吸っているというのだ。
「酒と煙草の金は俺のバイト代から出してるよ」
「そのことはお袋さんには迷惑かけてないんだね」
「学費出してもらってるからな、酒屋やってて」
「ああ、君の家酒屋だね」
「実は酒には困ってないよ」
商売柄、というのだ。
「繁盛してるよ」
「それは何よりだね」
「代々な、親父の店でな」
「今はお袋さんが切り盛りしてるんだね」
「そうだよ、俺が跡継ぐよ」
「じゃあ余計にね」
「ああ、長生きするよ」
絶対に早死にしないというのだ、そうしてだった。
新太郎は煙草を吸い続けながら仁と話した、仁はその彼をじっと見ていた。その煙草を次々と吸う姿を。
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