第六章
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その味に驚きながらも二人はイエニチェリ達と話した、聞けば彼等の言葉はだ。
きびきびとしていて風格がある、しかも礼儀正しい。それはまさに武人のものだ。
しかもだ、彼等はこうも言うのだった。
「今は平和だがな」
「何かあればだ」
「我等はすぐにこの街を発つ」
「そして戦に向かう」
こう言うのだった。
「我が皇帝陛下の下な」
「そうするのだ」
「それがイエニチェリですね」
「我等は陛下のお傍にお仕えしている」
「だからこそだ」
そうするというのだ。
「当然としてな」
「そうするのだ」
「そうですか、では貴方達にとって皇帝陛下は」
「絶対の存在だ」
「我等の主だ」
まさにというのだ。
「我等を奴隷から救い出してな」
「素晴らしい待遇を与えて下さっているのだから」
「そうそう、そのことですね」
子爵は正体がばれない様にだ、流暢なペルシャ訛りのトルコ語で尋ねた。
「貴方達は元々はキリスト教徒ですよね」
「そうだ、私もな」
「私もだ」
その彼等自身もという返事だった。
「そして奴隷になりな」
「陛下に召抱えられたのだ」
「奴隷ですよね」
このことからも言う子爵だった。
「そこからイスラム教に改宗されて」
「ムスリムになれば奴隷ではないからな」
「それで解放されるからな」
このことはイスラム世界において絶対のことである、ムスリムになれば奴隷であろうともそれで解放される世界なのだ。
「我等は奴隷ではない」
「陛下の戦士なのだ」
「そうなるのですね」
「陛下が我等を見出してくれたのだ」
「そうして下さったのだ」
「見出した、ですか」
ここでだ、子爵はワインを飲む手を止めた。そのうえで彼等に尋ねた。店の外に敷きものを敷いてそこの中央に料理や酒を置いて車座に座って飲み食いをしているが思わずその飲む手を止めてしまったのだ。
「皇帝陛下が」
「そうだ、我等をな」
「帝国内のキリスト教徒達からな」
「我等の資質を見出して下さってだ」
「そうされたのだからな」
それでだというのだ、そしてだ。
子爵はイエニチェリ達にだ、彼が知っていることを他ならぬ彼等自身に問うた。
「そういえばイエニチェリは国内のキリスト教徒達から容姿がよく」
「うむ、そうだ」
「それも見てもらってな」
彼等このことは笑って述べる、顔のよさを認められることは彼等にしても嬉しいことなのだ。
「そしてだ」
「それに加えてだな」
「はい、頭の切れがよく肉体も頑健で俊敏である」
「そうしたことを認めてもらってな」
「そのうえでだからな」
それでだというのだ。
「イェニチェリにして頂くからな」
「素晴らしいことだ」
それでだというのである。
「だからこそだ」
「そうしたことを
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