第二章
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「それは」
「そうだな、だったらな」
「その銀行の人かな」
「頭取さんの娘さんでな」
「その人となんだ」
「会ってみろ」
是非にというのだ。
「それでどうだ」
「そうだね」
少し考えてからだ、ヴィンセントは父の言葉に頷いた。見てみればその顔は彼にそっくりである。その背丈まで。
「じゃあその人とね」
「会ってみてだ」
「うん、それから考えてみるよ」
「真面目な人だ」
この国の国情そのままにというのだ。
「とてもな」
「真面目なんだ」
「御前もそうだからな」
「合っているっていうんだね」
「そう思う、ではな」
「うん、会ってね」
そうしてだと話してだ、そのうえでだった。
ヴィンセントはその女性と会うことにした、彼が務める予定の銀行の頭取の娘と。半ば決まっている流れであったが。
父に連れられてシンガポールの中でも名を知られているレストランに入った、勿論彼は今はスーツ姿だ。
アイロンもかけて埃も取っている、その折り目正しい姿でレストランに入ると。
膝まである白いスーツの女性が恰幅のある壮年の男性の横にいた、髪は黒いロングヘアだ。切れ長で睫毛の長い目が眼鏡の中にある。
背は一六一程でスタイルは普通だ、白いスーツは露出がなく綺麗なものだ。ヒールも白で磨かれて光っている。
年齢はヴィンセントと同じ位か、その彼女がだった。
ヴィンセントに頭を下げた、彼もそれに応える。
そしてだ、彼女の横にいる男がヴィンセントと彼の父に言ってきた。
「今日はね」
「はい、こうしてですね」
ヴィンセントの父が男に応える。
「お互いに」
「料理を楽しもう」
「そうしましょう、そして」
「娘と」
「息子に」
「話をしてもらうか」
「そうしましょう」
「いいかい、メアリー」
男はその女性に顔を向けて彼女に言った。
「それで」
「はい、私は」
真面目な声でだ、その女性は男の言葉に答えた。
「お父様の仰る通りにします」
「そうしてくれるか、では」
「はい、まずはですね」
ヴィンセントの父が彼に応えた。
「四人で食事にしましょう」
「そうしましょう」
こう話してだった、まずはお互いの両親を交えて四人でフランス料理を食べた。料理はどれも綺麗に飾られ味も品がある。
ワインも高級なものだ、しかしそのワインを飲んでもだった。
レストランの壁にある紙を見るとだ、やはりあれこれと書いてあった。ものを捨てるな罰金だのと書いてある。レストランでもやはりシンガポールだ。
四人もそれを見ている、それでだった。
四人はワインを飲んでもだった、乱れなかった。それはヴィンセントもメアリーも同じだった。まるで儀式の様にデザートまで食べると。
メアリーの父がだ、ヴィンセントの
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