第三章
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しかしここで、でした。お家をよく見ますと。
木を何かで覆っています、それが気になりましたが。
それでも火を点けようとします、ですが。
火は全く点きません、かちかちという火打石を打ち合わせる音だけがします、フーがその音を聞いてお家の中から狼に言いました。
「火を点けようとしてるのかな」
「それがどうしたんだ」
「無駄だよ」
楽しげな声で、です。狼に言うのでした。
「だってちゃんと備えはしてるから」
「この覆いかよ」
「それは石綿だよ」
それをです、家に貼っているというのです。
「石綿は燃えないからね」
「それで家に貼ったのか」
「そうだよ、だからこのお家は絶対に燃えないよ」
「くそっ、出て来ないな」
「君が帰ってから出るよ」
つまり食べられるつもりはないというのです。
「だから諦めてね」
「今は諦めてもな」
それでもと返す狼でした。
「覚えてろよ」
「うん、君のことは絶対に忘れないよ」
フーは狼に笑って答えました、こうしてでした。
また狼を凌ぎました、ですが。
狼はまだ諦めません、それでなのでした。
今度はウーの煉瓦のお家に集まって遊んでいる時にでした、狼はやって来ました。
子豚達は今回もそのことを察してお家の中から出ません、その煉瓦のお家から。
煉瓦のお家を見てでした、狼は言いました。
「息も火も無理か」
「煉瓦だからね」
ウーがお兄さん達と同じ様に狼に答えます。
「そのどっちも無理だよ」
「くっ、何てことしやがる」
「もう諦めたら?」
ウーは狼にこう言いました。
「いい加減」
「馬鹿を言うな、俺だって生きないといけないんだ」
狼にも狼の事情がある、こう言うのでした。
「だから絶対にだよ」
「僕達を食べるっていうの?」
「俺は肉を食わないと駄目なんだよ」
それが狼だというのです。
「御前等と違ってな、野菜とか麦とかは食べられないんだよ」
「それじゃあまたなんだ」
「僕達を狙って来るんだ」
「油断出来ないね」
「一匹一匹になった時は覚えていろよ」
その時こそ、というのです。狼は子豚達に言いました。
「御前等を絶対に食ってやるからな」
「じゃあ普通に肉を食べられるお仕事はじめたら?」
ウーが煉瓦のお家の中から狼に言いました。
「そうしたら?」
「どういうことだよ、それは」
「だから、人間さん達のお家に飼われてね」
そうしてというのです。
「番のお仕事したら?」
「何だよ、そんな仕事があるのかよ」
「そうだよ、そうしたらいつも決まった時間に御飯が貰える様になるから」
だからだというのです。
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