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無欠の刃
下忍編
一尾
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らも、思考に余裕があった試験官は、カトナの方を向く。
 カトナは適当に杜撰に、ころころと鉛筆を回し続けている。
 運任せかと、訝しげに試験官は眼を細めた後、暫くの間、カトナを凝視する。
 無意味な行動をしないはずだと、落ちながらない筈だと、試験官はカトナを睨み付け、その真意を探ろうとする。
 しかし、カトナはその視線に気がついていながらも、ふあーあと欠伸をし、体の全身から力を抜いた。
 とたんに押し寄せてくる睡魔に、身を任せる。
 カトナは、うつらうつらと、いっそ、器用なまでに規則的なリズムで舟をこいで、睡魔に身をおかす。
 その適当な様子に、警戒を緩ませて、気のせいかと思い直した試験官が、カトナから目を逸らした瞬間、にやりと、カトナが笑う。
 とんっ、と、その一瞬の隙に、彼女は、指で丸を描く。
 決して常人では気づけないほどに美しい、繊細なチャクラが指を追うように描かれ、机に痕を残す。
 カトナが声を出さないままに口を開け、ぱくぱくと開いては閉じてを繰り返す。
 きっと、声が出ていたならば、こんな言葉が響いただろう。

 ショータイム、の、始まり。



 そしてその言葉から間をおかず、かちりと、時計の音が響いた。




 かち、かち、かち。
 かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち、かち。

 規則的に刻まれる時計の音が、耳に届く。
 もう何度目かわからないくらいの音が響いたとき、一人の少年が苛立たしげ足をがんがんとぶつけた。
 一定的ではなく、規則的ではないその音が耳に届いた瞬間、彼らの脳にひとつの疑惑が渦巻く。

 だが、どうしてだろうか。
 どうして。
 さきほどまでよりも、明らかな違和感。

 こんなにも、時計の音が大きく聞こえるのだろうか?

 そこまでに思考が至った瞬間、ぱちんっ、という泡が弾けるような音が響き、彼らは目を見開いた。大事な試験なのに、ぼっーとしていたらしい。なんという失態だと、今まで固まっていたのが嘘のように、彼らは辺りを見回して、首をかしげた。
 生徒も慌てている。どうやら、何人の人間もぼーっとしていたらしい。どうしてこんなに一斉に全員が動揺しているのだろうか、そう疑問に思うことがあっても、彼らはその疑問を問い詰めようという思考が無い。
 いつもならば考えるはずなのに、なのに彼らはかんがえれない。仕事に忙しいからとか、今この試験に集中しなければならないとか、そんな言い逃れが、責任転嫁が頭の中を渦巻いている。

 だから、試験官も、誰も、気が付かなかった。

 時計の長針が、先程よりも動いていることに。前に、進んでいることに。
 彼等が気づかぬうちに、時間が、たっ
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