DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第九話
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ただならぬ気配に、コハクは彼に問う。そして直後――――彼の返した、信じられない言葉に凍り付いた。
「たった一つだけ問う。お前たちは……敵か?」
自分達のことが、分かっていない――――!?
「そんな……清文……私だよ?コハクだよ?何で……どうして……?」
その瞬間、セモンの動きが一瞬だけ止まった。無表情だった顔がゆがめられる。
「コハク……琥珀……?いや、違う……違う……違う!コハクは……琥珀はお前じゃない……でも……あれ……?コハク?どうして……?いや……違う!」
「どうしたんだ、セモン!?」
ハザードが声を荒げる。
明らかに、セモンの様子がおかしい。こちらのことが認識できていないのだ。確かに二カ月余り彼とは会っていなかったが、それだけの間が空いただけで顔も忘れてしまうほどヤワな関係ではなかったはずだ。
それにコハクの顔なら…悲しいが…忘れてしまうかもしれない。けれど、ハザードの方を認識できないのは明らかにおかしい。彼は、セモンと十年以上の間、常に共に過ごしてきた親友なのだ。
それを見分けられないなんてことが、あり得るわけがない。
「何で……違う……?いや、合ってるのか……?馬鹿な……う、ぁ、ぁぁぁああああ!?」
頭を押さえてうずくまるセモン。苦しそうなうめき声が漏れる。
「清文!」
「――――違うよ、清文」
コハクが彼に駆け寄ろうとした瞬間。
全く別の声が、届いた。
セモンの後ろから、誰かが姿を見せる。その姿を見て、再びコハクは絶句した。
「……刹那?」
その人物は、天宮刹那と、全く同じ顔をしていた。いや、よく見ると所々が異なっているように見える。特に違うのは、巻いているマフラーの色だ。刹那が黒なのに対し、彼女は青い。その色は、コハクがSAO時代、好んで身に付けていた装備と同じ色だった。
「違うよ、清文。『あいつらは敵で――――私が琥珀よ』」
そのフレーズがセモンに届くと同時に、彼の叫びはぶつり、と止まった。
再び顔を上げた時、彼の顔は無表情に戻っていた。
「そうだ――――そうだ。お前たちは敵だ……俺と琥珀の平穏を乱す、敵……だから、倒さなくちゃいけない……」
「操られているのか……!?」
ハザードがうめく。その声を聴いて、刹那によく似た少女が頷く。
「そう。清文にはね、私の事が杉浦琥珀に見えている。琥珀からの頼みなら、断れないよね――――優しいのか、甘いのか……それも強さ?まぁいいや……『清文、あいつらを殺して』」
「分かった」
その言葉に一切の疑問を抱いていないかのように――――セモンは、空中に手をかざす。
空間が凝縮する。歪みは一本
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