DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第九話
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していた。空の色もどこかおかしい。まるで――――そう、まるで絵に描いたような風景。
「ここが《白亜宮》への入り口となる。前回はノイゾの介入で入ったが……俺達が最初に来た時は、入った瞬間に離れ離れにされた。恐らく今回もそうだと思う。気をつけろ」
コクトが忠告する。頷く一同。
「できる限りかたまって移動できることを祈ろう――――行くぞ!」
再びのラーヴェイの宣言。《六王の神殿》の中央にあるストーンサークルの中央に移動する。SAO時代に、アインクラッド各階層主街区にあった転移門とよく似ている。同時に、この世界にダイブした時、後ろにあったゲートにも。
メンバー全員が入ると同時に、サークルが真っ白い光を放つ。浮遊感。SAO時代、何度も感じた転移の感覚――――
――――目を開けた時、そこには別世界が広がっていた。
白い。唯々白い。純白の廊下だ。大理石ともプラスチックとも違う質感と輝き。一体何でできているのだろうか。良く目を凝らすと、非常に豪奢な装飾が施されていることに気づく。その一つ一つが非常に緻密だ。この世界に来た時から薄々気づいていたが、この世界のリアルさは現行のVRエンジンでは再現不可能な域だ。
「これは……」
「すごいな……」
後ろで声。いたのはハザードと子龍のレノンだ。どうやら他のメンバーとははぐれてしまったらしい。
「私達だけってことね」
「そうだな……よし、セモンを探すぞ」
「うん」
恐らく、清文/セモンは《白亜宮》城内に取り残されていると思われる、と、小波は言っていた。ここが《白亜宮》の城内なら、清文もいる可能性が高い。
「……待っててね、清文」
「――――その必要は、ない」
その時だった。
懐かしい、あの声がしたのは。
はじかれたように振り向くと、純白の廊下の角から、見慣れた茶色い髪の毛が見える。
緑色の和風コートを纏い、バンダナを巻いたその姿は、まぎれもなく――――
「清文!!」
栗原清文/セモンの物だった。懐かしいその姿に、思わず涙が出そうになる。彼に抱き着こうと、コハクが駆けだしかけたその時――――
「待て!様子がおかしい!」
ハザードがその肩をつかんだ。
「清文……?」
言われてみれば、どこかおかしい。
無表情なのだ。基本的に明るくて無鉄砲でそのくせ優柔不断なセモンは、ころころと表情が変わる。だが、今の彼は無表情。その顔に、一切の感情がのっていない。
それだけではない。彼の右目は、紅蓮色になっていた。
――――現実世界の清文と同じ……?
それは、本来の彼の目の色ではないはずだ。
「……清文?どうしたの?」
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