第一章
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外見の彼にだ、あるものを差し出した。それは。
「あの、課長」
「あれっ、これは」
「実はこの前実家に帰った時の」
「ええと、早坂さんの実家は」
「はい、三重です」
智秋はにこりと笑って答えた。このことは本当のことだ。
「三重の赤坂です」
「ああ、それでなんだ」
優斗はその赤福餅を見て応えた。
「お土産はこれなんだね」
「はい、課長さんにもどうかと思いまして」
「有り難う、実は僕好きなんだよ」
優斗はにこりとして智秋に答えた。
「甘いものがね」
「そうですか、それじゃあ」
今気付いたふりをしているが最初から調べている、そのことを隠したうえで優斗にその赤福を差し出したのである。
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