第六章
[8]前話
「だからいい」
「そう言って頂けますか」
「それに私もそう思う」
「父上もですか」
「日本刀の頂点にあるのだな」
「まさにそうした刀でした」
「ならば当家が持つものではない」
こう言うのだった。
「日本が持つべきものだ」
「さすれば」
「御前の判断は正しかった、我が家といってもだ」
由緒のある貴族の家といってもというのだ。
「何でも持てる訳ではない」
「持ってよいものと悪いものがありますね」
「その刀はそうだったのだ」
「当家が持つべきものではなかったのですね」
「日本が持つべきものだ、そういうものだったのだ」
「だから預かっていた方も」
「日本に渡したのだ」
彼等の国にというのだ。
「そうしたのだ」
「そういうことですね」
「ではだ」
ここまで話してだ、父は息子にこうも言った。
「これからも日本のことを学べ」
「はい」
「そしてそうしたこともさらに見極めていくのだ」
「持つべきものとそうでないもの」
「そして頂上にあるものをな」
「あの刀は頂上にありました」
またこう言ったリチャードだった。
「その頂上もですね」
「わかりことだ、いいな」
「畏まりました」
リチャードは父の言葉に深々と頭を下げた、そうしてだった。
日本に帰りこのことをトーマスに話した、そしてこう言うのだった。
「私は日本に来てよかった」
「そうしたことを学べて、ですね」
「そうだ」
まさにそれで、というのだ。
「本当によかった」
「私もそう思います」
トーマスはその彼に微笑んで言った。
「旦那様が日本に来られたことはです」
「私にとってよかったな」
「非常に」
「そうだな、この国は素晴らしいものを多く持っている」
「その文化の中に」
「その文化を学び私はそこから多くのものを学んだ」
さらにというのだ。
「有り難いことだ」
「その通りですね」
「ではこれからも学ぼう」
これがリチャードの判断だった。
「日本にいてな」
「では私も」
「共にか」
「私も日本に興味を持ちました」
それ故にというのだ。
「ですからお願いします」
「わかった、ではそなたも共にいてくれ」
「はい、それでは」
トーマスはリチャードに笑顔で答えた、そうして実際に二人で刀を見ていって他に日本のことを学んでいくのだった。
SWORD SUMMIT
2014・9・29
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