雷の神の一撃を
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飛ばせ!”」
クロノが向けた左手から風が吹き、憤怒を勢い良く吹き飛ばす。
遠くの方で爆発した魔力の球体を視界の隅に入れつつ、ジョーカーは更に魔法陣を展開させた。空気を裂くような音と共に振り下ろされるミョルニルを避けつつ、叫ぶ。
「傲慢!」
無数の光の羽がクロノ目掛けて放たれる。連射されるそれを風で吹き飛ばし、時にミョルニルで弾きながら、クロノは力強く地を踏んだ。
風の勢いをそのままに高く跳び、笑みを浮かべて振り被る。
「剛勇神ヘルモズに命じる!“お前の力をオレに貸せ、冥界の橋をも軋ませた力を込めろ!”」
ミョルニルが紫の光に包まれる。
とある神が死んだ際、その神を冥界から連れ戻す為に冥界に行った神ヘルモズ。彼が冥界へ通じる橋を渡った時は、5人の死者が渡った時よりも激しく軋んだという。
その力をミョルニルに与え、一気に重量を増したミョルニルをそれでも軽々と振り被ったクロノは、更に詠唱する。
「光明神バルドルに命じる!“眩いまでの光を撒け、愛されし神の祝福を!”」
自分が死ぬという不吉な夢を見る事から始まり結果として死んでしまった、誰からも愛されたという神バルトル。行く先々に喜びと光を撒いたとされる神が撒く光を魔法陣から零すように放ち、視界を容赦なく晦ませる。
思わず右腕で目を覆ったジョーカー目掛けて落下していくクロノは、ミョルニルを思いっきり振り下ろした。
「!」
しかし、威力増幅状態のミョルニルの一撃を、ジョーカーは――――――嫉妬によってルーに変身したジョーカーは簡単に防いでしまう。
鉄壁、と付く異名を取るルーの防御魔法は言葉通りの鉄壁。防御だけに集中すれば操る風は不和の盾となる。それを知っていたのであろうジョーカーは彼の防御魔法の代名詞―――大空鉄壁を使い、ミョルニルをいとも簡単に防いでみせた。
「あの一瞬で変身か、なかなか早いな」
「……あと1秒でも遅れてたら僕の負けだったと思うけどね」
距離を取り笑うクロノをどこか恨めしげに眺めながら、ジョーカーは嫉妬を解除する。
(流石は強行検束部隊の隊長…ってトコか。どんな凶悪犯も逃さない……強くなければ出来ない事だし)
くるり、とミョルニルを回してみせるクロノに目を向けながら、ジョーカーは唇を噛みしめる。
評議院の制服をルーズに着こなす青年は見た目以上の強さを誇っている。妹が妹なら兄も兄、と言ったところだろうか。ギルドに所属している頃から最強候補と呼ばれていたらしいが、これ程とは。
(だったら……本気を出さないのは失礼だよな)
ニィ、と口角を上げて、オッドアイを細めて。
右手に魔法陣を展開させる。
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