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Element Magic Trinity
雷の神の一撃を
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見つめ、シオはこてりと首を傾げる。
人形めいた動作に合わせ、ボブより少し長い淡い緑の髪が揺れた。やや大きめのパーカーから小さく覗く細い指が目にかかる前髪を払い、続ける。

「お前はー、私にはー、勝てないー……その理由がー、解ったー?」










傲慢(ルシファー)!」
「雷神トールに命じる!“雷鎚で一撃を叩き込め、巨人さえも殺した一撃を!”」

ジョーカーの背から放たれる無数の光の羽が、矢のように連射される。
それを見たクロノの声に応えるように、彼が握りしめる雷鎚ミョルニルがバチバチと音を立てて雷を纏った。
重いであろうそれを軽々と頭上で回したクロノは、ミョルニルを思いっきり羽の1つに叩きつける。
バチッ、とスパークするような音が耳に飛び込んできたと同時に、その羽と別の羽を繋げるように金色の電撃が走り、一斉に無数の羽が電撃に包まれた。
弾けるように消えた光の羽の中を突っ切り、クロノはもう1度槌を振りかざす。ジョーカーはそれを避けると、立てた右人差し指と中指を突き付ける。

憤怒(サタン)!」
「怪狼フェンリルに命じる!“お前の呪縛を解いてやる。早速餌だ、遠慮せず喰いな!”」

展開する魔法陣から、凶暴な狼が現れる。
悪神ロキと巨人の女アングルボザの子である怪狼フェンリル。彼の怪力と悪行を恐れた神々によって、ネコの足音や女の顎髭、魚の息など様々な不思議な材料で寄り合わせた魔法の綱で縛られ岩に繋がれている狼を、クロノが解き放つ。
世界が破滅する時に解放され最高神オーディンを呑み込んだフェンリルは、あっさりと憤怒(サタン)を呑み込んだ。

「チッ……色欲(アスモデウス)!」

指を突き付けると、クロノを淡い桃色の霧が包んだ。
その瞬間、ピタリと足が止まり、ミョルニルを持つ手がだらりと下りる。
青い目が大きく見開かれ、僅かに開いた口から小さく呻くような声が零れた。

「え…どうしたの?」
「何か様子がおかしいわよ」

突然の異変に、レビィとシャルルが呟く。
その様子を見たジョーカーが、口角を上げ呟いた。

「終わりだよ、神話ノ語リ部(カミガタリ)








そんな心配をされている事に全く気付いていないクロノは、ただ目を見開いていた。
ジョーカーが使った色欲(アスモデウス)―――――相手に強力な幻覚を見せる魔法によって、クロノの目には2人の少女が映っていた。

『兄さん』

1人は、自分と同じ青い髪と瞳を持つ少女。
造られたように整う美少女顔に歌うように軽やかなソプラノボイス、完璧なまでなプロポーション―――――とシスコンで有名なクロスが言うのも納得出来る、超完璧美少女。口を開けば毒舌と正論のオンパレードだが、黙ってさえいればうよう
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