雷の神の一撃を
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ら反対するであろう言葉。そうだとしても、クロノは少し安心する。
自分の言葉の後押しをしてくれる気がして、口元が緩む。
『え?なーに笑ってるのクロ君。面白い事でもあった?』
『あった。でも秘密』
『むぅ、教えてよ。私だって知りたい!』
『秘密は秘密』
『クロ君のバカ』
『何とでも言え』
不貞腐れたように頬を膨らませるナギの頭を撫でる。彼女の思考は結構単純だから、これだけでも大抵は許してくれるのだ。
今回もそのようで、ナギは柔らかく微笑むとパッと顔を上げた。
突然の事に、クロノは軽く仰け反る。
『うおっ』
『ねえクロ君、来週の土曜って空いてる?』
『来週の土曜?……今のところは空いてるけど、どうかしたのか?』
『じゃあさじゃあさっ、次はその日に会おうよ。私の家に集合、OK?』
『OKだけど、何かあったっけ?その日』
『言わないよっ、忘れてるならそれでいいんだから!じゃあねクロ君、私これから用事なの』
『ん、解った。来週な』
満面の笑みでぶんぶんと手を振るナギにヒラリと手を振り返し、お互いに背を向け逆方向に歩き出す。
来週会える事を疑っていなかったから、お互いに何も言わない。
まさかこれが最後になるなんて、微塵も疑っていなかったから。また会えると信じて疑わなかったから。
ナギが会いたいと言った“来週の土曜”がクロノの誕生日である事を彼が思い出したのは、行方も生死も不明だったナギが“死んだ”と判断された、3年前のナギの誕生日だった。
足に炎を纏い、火力をバネに飛ぶ。
先ほどまでナツが立っていた床をシオが放つ熱い波動が焼け焦がす。それを見たナツは表情を歪めると、タン、と小さく音を立てて着地する。
「火竜の…咆哮!」
「吸収ー」
竜さえも滅する紅蓮の炎を、小柄な少女が簡単に吸収してしまう。
火傷1つない白い肌が淡い赤色の光に包まれ、魔法陣が展開する。ぶわっと熱気が発生し、空気が熱くなる。火竜の異名を持つナツは何とも思わないが、2人から距離を取り戦いを眺めるハッピーにはじっとりと汗が滲んでいた。
「お前、さっきから何でオレの炎が消せるんだ?」
「それがー、私のー、魔法ー、だからー」
「ア?」
「教えてー、ほしいー?」
ナツが怪訝そうな顔をする。
ハッピーも意味が解らないというようにシオを見つめた。
何やら顔のような模様が描かれた緑色のパーカーのフードの下から、とろんとした眠そうな瞳が覗く。
「私のー、魔法はー、“エネルギー変換魔法”。熱をー、吸収してー、攻撃エネルギーにー、変換させるー」
「熱を吸収!?……そうか、だからナツの炎が消えちゃうんだ!」
「ぐぬぬ…」
呻くナツをぽけー…と
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