第百八十七話 厳罰
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うな状態が続いていた。
暫くケスラーによる弁論が続けられた結果、テレーゼも折れた。
「シェーンバルト少将、ケスラー大将の有り難い軍法講釈で卿を妾が罰する事は帝国の軍法に私恨を持って行う事に成るために撤回します。したがって卿の事についてはエッシェンバッハに任せる事に致します。シェーンバルト少将、キルイアイス大佐はエッシェンバッハ元帥に元へ出頭し事後の命を受けるようにせよ。クルムバッハは両名を元帥の元へ護送せよ」
「御意」
テレーゼは坦々とそう伝えると頬を両手で“パチン”と叩くとロイエンタール達に向き合う。
「ロイエンタール提督、ケンプ提督、ルッツ提督、ファーレンハイト提督、アイゼナッハ提督、ワーレン提督、ミュラー提督、御苦労様でした。卿等のお陰で10万を超す将兵が帰ってくることが出来ました」
そう言いながらテレーゼは7人に頭を下げる。
先ほどまでの怒気を含んだ声色ではなく、鈴のような可憐な慈愛を持った声に皆も唖然としてしまい何も言えなかったために不敬をしてしまったと慌てる。
「殿下、頭をお上げください」
さしものロイエンタールも度肝を抜かれる。
「卿等には無理をさせてしまい済まぬ」
「殿下、我等は軍人です。命令と有れば何処へでも向かいましょう」
「皆、ありがとう。ありがとう」
テレーゼは14人の指揮官と参謀長一人一人に握手し苦労を労い続けた。テレーゼの真摯な態度に触れた、提督達と参謀長達は“この方は本当に兵の事を考えてくださっている”と思った。そして“何故女子に生まれたのであろうか、殿下が男児であれば次期皇帝として忠誠を尽くせるのに”と熟々残念がった。
これらの話は、その場に居合わせた将兵の口からイゼルローン要塞全域に流れ、シェーンバルトの無謀さと将兵を駒としてしか見ていない態度と、シスコンの大馬鹿野郎という噂が流れまくり、益々人望を失う事に成った。
エッシェンバッハによるラインハルトに対する処罰は指揮権を停止し自室謹慎と言う事に成ったが、本人は反省の色を見せずに、姉の悪口を言われたと怒りまくって、更なる簒奪への野望を燃やすことになった。
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