第百八十七話 厳罰
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
帝国暦486年1月31日
■銀河帝国 イゼルローン要塞
「そうなの、15万人もか・・・・・・」
テレーゼは宇宙を見ながらケスラーの報告に呟いた。
「はっ、ロイエンタール少将以下の救援部隊が救い出したときには、既に包囲下で相当数の損害を得ていたとの事です」
テレーゼは右手で持っていた扇を握り潰しながら震えている。
「15万人を煉獄に叩きこんだ訳よね、こうなることは判りきっていたのに止める事をしなかった・・・・・・私
は最低よね」
「殿下、その様な事はございませんぞ。あの時点で敵がシェーンバルト艦隊の包囲殲滅を図る事など、何%程度でしか想定されていなかったのですから、それでも救援部隊を差配なされたことで、10万の将兵の命が助かったのです。殿下が責任をお考えになる必要はございません。そう言ったことは我等の仕事でございます」
ケスラーはそう言うが、テレーゼにしてみれば原作知識でラインハルトが酷い目に会うことを知っていたが故に、それを利用しようとした自分に自己嫌悪を感じていたことと、実際に最前戦で兵達に接し生の将兵の声を聴いたことで、“指揮官とは効率よく味方を殺す事が仕事だ”と言う言葉に因る、将兵の大量死に自らの浅ましさを感じていたので、自分の責任を感じていたのである。
「そうは言うけど、15万の将兵にはそれぞれの人生と家庭があるわ、それを止めなかったが為に永遠に奪ってしまったのだから」
「殿下・・・・・・」
その後、黙りこくりながら宇宙を見続けるテレーゼをケスラーは何も言わずに待ち続けた。一頻り時間が経って心が落ち着いたのか、徐に話しはじめた。
「シェーンバルト艦隊が帰投したら、負傷兵の収容に全力を尽くすように、私もその場で立ち会います」
その言葉にケスラーは止めるようにと説得する。
「殿下、今回の損害を考えれば、今までのような負傷の度合いでは済みません。恐らくは相当酷い事に成っているでしょうから、お止めください」
「ケスラー、私は逃げたくはないのですよ。私が見逃したが為に犠牲になった人々に向き合わなければ何のための皇族かと嘲られるなら構いません。しかし血を流した者達を見ずに、いるのは耐えられません。例え迎え入れるだけしか出来ませんが、それだけでもしたいのです」
ケスラーにしてみれば、テレーゼが何故其処まで責任を感じて打ちひしぐのか判らなかったが、その姿に保護欲を擽られることには成っていた。
軍港にシェーンバルト艦隊の艦が次々に入港してくる、入港して艦の全てが無残に傷つき中にはよく生きて帰って来たかと思われるほどの艦も有った。艦が桟橋に接続され、ハッチが開くやいなや負傷兵が次々と搬出され、待機していた救急車両が近づき病院へと搬送されていく。その様子をテレーゼは悲痛な心を隠
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ