夫になった訳だが……どうしよう?
54話
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
か?」
「だから、今は不味いんだよ」
「どういうことなの、お母さん?」
「いい、確かにラケルは人体実験なんかをやって結構な人数を殺した、けどそれを告発する人間は皆死んじゃった。今の状況はそういう事だよね?」
「はい」
「けどそれが明らかにされてない理由は被害者が軒並み孤児で誰も気にかけなかったから、こんな世界じゃアラガミに喰われたんだろって程度で扱いだから。それともう一つ、孤児という事を差し引いてもそれを隠し切るだけの隠蔽工作を行った。
これ以外にも何かしらの手を打ったんだろうけど、これから用心深い上に知恵が回るってのは分かるでしょ?
だから今挑んでも確実にあなた達は人体実験の被害者じゃなくて、ただの新種のアラガミとして扱われてゴッドイーターによって狩られる
それも要人を狙ったアラガミともなれば逃げ場なんてない、それ位分かるでしょ?」
「でも、僕はあの女さえ殺せれば、死んだって……」
その瞬間レオは真横に吹き飛ばされた。……どうやらイザナミが平手打ちをレオに当てたようだが、細身の女性がハンニバルを平手打ちして吹き飛ばすという光景は内容を知っていても妙なものだ。
「あのさ……レオ、それを親の前で言うっていうのはやっちゃいけないことなんだよ。確かに私達は出会ってそう長くはない、親子関係と言っても血縁も何もないよ。
でもね、少なくとも私はあなた達の親でありたいと思うし、そうあろうとしている。だから、あなた達がその命を蔑ろにするというなら私は母親としてどんな手を使っても止めるよ」
この時、イザナミは久しぶりに本気で怒ったようで傍にいた俺にまで圧力を感じた。とはいえ、イザナミの怒りももっともだ。
彼女がやっていなければ俺がやっていただろうし、そもそもレオは明らかに冷静さを欠いている。それは無理からぬことだが、そんな状態で覚悟を決めるのはよろしくない。
「じゃあ、諦めろっていうの!?」
「違う、ラケルを地位から引きずり降ろせる材料が揃うまで待てって事だ。
お前がどれだけ強くなろうとも個においてできる事は限られているし、舞台も整わないまま戦って勝てる程相手はバカじゃないだろ?」
「……ごめんなさい」
幾らか冷静さを取り戻したのかレオは頭を下げる。
「うん、偉い偉い。ちゃんと謝れるっていうのはいいことだよ、レオ」
イザナミは体の大きさ故にレオの顔の部分を抱きしめならがら、頭を優しく撫でている。そんな様子を見ていると、ジルに袖を引かれた。
「ん?どうした?」
「私身冷静さを欠いていた事を謝りたいんですが……お父様はあの女の地位を崩せる策か何かがあるんですか?」
そうだな……すぐにとはいかないが、打つ手が無い訳ではない。が、その手が通れば一気に追い詰められる。
「まだ原案程度だがな、もう少し情報を集めてから
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ