プロローグ1
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だでさえ高い監視レベルが、ここでもう一つ上がったのだ。教授を数名派遣する、というのが妥当な線なのだ。
当然だが、麻帆良に行きたいと思うような魔術師はいない。魔道使いの監視という面倒が増えるのに、研究室の程度はがくりと落ちるのだ。かくして、中級以下の教授の中で、壮絶な押し付け合いが始まったのだが。それも士郎の立候補で落ち着いた。
内外に名声の高い士郎であれば、一人で向かっても文句はでない。時計塔最大戦力の一人を出すことに、反対するものもいた。だが、ならば誰をと言われれば、全員が言葉を詰まらせるしかない。誰も代わりの生け贄にはなりたくないのだ。
「切嗣の遺言でこういうのは初めてだったからな。なるべくかなえてやりたいよ」
「それはいいけど」
しんみりとした空気を作る士郎に、しかし凛とセイバーは生暖かい視線を向けていた。
「あいつ、自分が魔道使いにどう思われてるのかぜんぜん分かってないわね」
「シロウですから……」
「ん? 何か言ったか?」
「いいえ、べっつにー」
「シロウはそのままのシロウでいて欲しい、と思っただけです」
「む、なんだよそれ」
く、と不機嫌そうに口をへの字に曲げる。とても幼く見えるらしく、たびたび凛にからかわれる仕草だ。直そうと思っているのだが、今のところ成果は無い。
「一緒に連れて行くメンバーはもう決めたの?」
「色々考えたんだけど、やっぱり時計塔から連れて行くのはやめることにしたよ。ちょっと金はかかるけど、バゼットに頼むのが一番安全だったし」
「まあそんな所でしょうね」
バゼット・フラガ・マクレミッツ。かつて、故郷で紆余曲折あり知り合った魔術師。
元だが、魔術協会最大戦力たる代行者でもあった。現在は協会それ自体を離れ、フリーの活動に徹している。と言っても、魔術協会といざこざがあったわけでは無いので、関係は良好であり。その実力の程も協会に理解されているので、頼み事をするのにもうってつけの人物だ。それ以上に、彼女であれば投影魔術を見せても問題ない、という切実なものもある。
今回に限らず、バゼットとセイバーとは、よく仕事をするのだ。と言うか、他の人間を連れてしまうと全力で戦えない、という理由が主だが。
「連絡は?」
「もうした。ほら、麻帆良って図書館島っていう、やたら大きな図書館があるだろ? 一足先に、あそこの職員募集受けてもらったんだけど、さっき合格したって連絡が来たよ」
「……」
「……」
と、急に凛とセイバーが黙り込んだ。
士郎は怪訝な表情をして、二人をみる。両者の表情は共に同じだった。若干引いて、目元を引きつらせて――つまり、何か恐ろしいものを見るような目。
「衛宮君、一応聞いておくけど、それって魔術師として受けてもらったのよね?」
「な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ