プロローグ1
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。まあ、切嗣の知り合いって事だけは間違いないだろうけど」
四つ折りにされていた手紙が開かれる。中身は、その要領に反して、殆ど書かれていなかった。
切嗣のメッセージは、余裕があれば二人の頼みを聞いてやって欲しい、とだけ。男達は、それぞれ自分の子供達の力になって欲しいと書かれていた。少女のものらしきメッセージは見つからない。
差出人には、こう書かれていた。近衛詠春、そして、ナギ・スプリングフィールド。それを見つけた瞬間には、凛は「はぁ!?」と声を上げていた。
「そりゃ驚くよな。俺だって、初めて見たときは切嗣の友好関係にびっくりしたし」
「いや、そんなものじゃ……。日本の呪術師元締めと知り合いなんて、普通は思わないわよ」
日本の魔術協会的な組織、関西呪術協会の長。関西、と銘打ってはいるが、実際は日本式の術を扱う者達全を総括している。要は、こちらの世界での最重要人物の一人なのだ。
「それでもう一人は、確か魔道使いの英雄さんだったかしら?」
先ほどとは打って変わり、侮蔑するように鼻を鳴らす凛。その視線は、非常に危険な色だ。
苛烈な反応ではあるが、魔術師としてはごく普通の反応である。いや、その因縁を考えれば、おとなしいと言ってもいいくらいだ。『魔法使い』などと自称する所から始まり、神秘の秘匿をないがしろにする点であったり、活動方針であったり。とにかく、全てにおいて魔術師と魔道使いは折り合いが悪かった。魔術師にとって、魔道使いどもは聖堂教会以上の敵である。
士郎としては、魔道使いを肯定も否定もしない。正義を旨として活動するのは大いに共感するが、敵対勢力であるだけに、それが暴走しがちである事も知っている。できれば、互いを理解しあってほしいと思っているが――それが不可能なのは、凛の反応を見れば十分分かる。
「って、スプリングフィールド? どっかで聞いた気が……」
「この前の、麻帆良に対する監督役派遣の時だよ。来年、メルディアナを卒業して赴任するって」
「そう言われれば、そんな話もあった気がするわ。ああ……そうそう、だから監視のレベルを一つ上げなきゃいけなくなったんだっけ」
麻帆良は、日本最高峰の安定した霊地だ。同時に、魔道使いのアジア最大の拠点でもある。彼らの動向を監視、監督するために、常にそれなり以上の実力の魔術師を派遣しなければいけないのだが……
今までであれば、派遣員の契約更新や交代でも、何も問題なかった。所が、今回はトップレベル魔道使いの息子が赴任するのだ。魔道使いは、純粋に血筋イコール素質となる訳では無い。しかし、そこはそれ、魔術師は血筋を重んじるのだ。力あるものの子孫というのは、それだけで無視できない要素である。具体的な年齢は知らないが、飛び級を繰り返して卒業したとなればなおさら。
た
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