プロローグ1
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様。お茶を用意してあるよ」
「はい、少し休憩しましょう」
隣の部屋から顔を出したセイバー。カウンターテーブルにのったお茶菓子に手を伸ばした。
凛も一息つくようにお菓子を食べるが、スペースが無いためデスクに座ったままだ。間取りがいいとは言いがたい執務室では、三人で卓を囲む余裕は無い。
「セイバーは知ってたの? 士郎が派遣されるって話」
「ええ、聞いてはいましたが……」
軽く、表情が曇る。そう決断した理由までは聞いていないと、雄弁に語っていた。
「と、言うわけで。ちゃっちゃと吐きなさいよ」
「別に隠してたつもりはないんだけどなぁ」
スティック状のクッキーを突きつけながら宣言され、うめく士郎。
少しだけ椅子を引いて、引き出しをあける余裕を作る。書類やら筆記用具やら、重要性の低そうなものが、乱雑に転がっている。その一番上に乗っている封筒を取り出して、差し出す。
手渡された封筒を、裏表確認する凛。セイバーも首を伸ばして、横から見ている。
「なにこれ、藤村先生から? イリヤじゃなくて?」
「藤ねえが気を利かせてくれたんだろ。その中身が重要なんだ」
言われ、封筒から取り出されたのは、一回り小さい封筒だった。しかし、外側の封筒が真新しいのに比べ、こちらは年季が入った汚れ方をしている。
わずかに汚れた封筒には、達筆な字で書かれていた。一つは、衛宮切嗣。そしてもう一つは、遺言状、と。凛とセイバーは、字を確認し、揃って目を見開いた。
「いやあの、あんた、これ……。こういうのって、私が見ちゃっていいの?」
「別にかまわないぞ。俺はもう中身を確認してるし、遺言状自体、珍しくないし」
「遺言状が珍しくないとは、どういう事です?」
首を傾げたのはセイバーだ。表情が怪訝そうなのは、以前に合っていた切嗣の印象に合わないからだろうか。
「いや、切嗣は遺言状を隠すのをおもしろがっていたみたいでさ。死んだ直後なんか、家中から数十通の遺言が見つかったぞ」
「……あんたのお父さんも、本当によく分からない人ね」
ため息をつかれても、苦笑で返すしか無かった。
ちなみに、遺言状の内容も千差万別だ。お供え物はだんごにしてくれ、というくだらないものから、権利書の類いまで。そして、今回は――後者よりのものだった。
「これは、手紙と写真?」
「中央左が切嗣ですね」
写真には、四人の人間が映っている。一人は、無精髭を生やし、曖昧な笑みを浮かべた衛宮切嗣。そのすぐ隣に、ヨーロッパ系の青年が、元気良さそうに絡んでいる。さらに隣に、白木拵えの刀を持った、血色の悪い男。最後に、写真の隅でとても嫌そうな顔をしている、金色の髪が美しいお人形のような少女だった。
「これ、誰なの?」
「俺も知らない
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