第九章
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なのいいわよ」
見ればだ。雅ものろけていた。これまで誰も見たことのないようなにこやかな顔にそれがはっきりと出ていた。
「だから今夜またね」
「そうだね。今夜マシュマロ持って雅の部屋に行くから」
「だからそんなのいいわよ」
「いいよ、折角だし」
そんな話をする二人だった。クラスメイトはここで二人の顔を見る。そうしてあることに気付いたのだった。
「全くな、脂の抜け切ったいい顔をしてるよ」
「えっ、脂!?」
「脂って!?」
二人は彼の言葉にきょとんとした顔になって返す。顔をそれぞれ彼に向けてきたのだ。
「どうしたの、一体」
「脂はチョコレートには使わないけれど」
「わからなかったらいいよ」
二人のその、明らかに剣道以外のことでそうなっている顔を見ての言葉だった。
「しかし。冬だってのに」
クラスメイトはそんな二人を見てだ。まだ呟くのだった。
「暑いな。これはまた」
「じゃあ今夜またね」
「うん、剣道してそれからね」
にこにことして話す二人だった。今の二人の前には雪もチョコレートも。何もかもが溶けてしまいそうであった。そんな二人であった。
燃えよバレンタイン 完
2011・1・13
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