憎悪との対峙
33 救うための勇気
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れ以上にスターダスト=彩斗としてはスズカを救うことが第一だった。
結果、非常階段を使った脱出が不可能になった事を意味していた。
引き返して校舎内の階段を使えば、当然ながら燃え盛る炎に身を焼かれる覚悟がなくてはならない。
常人を遥かに上回る防御力とあらゆる環境での活動を可能にするスーツを身に纏った自分だけならともかく、スズカは生身の人間だ。
落ち着け...考えるんだ...階段を使わずに逃げる方法...もっともスズカちゃんを危険に晒さずに逃げる方法...
スターダストは持ち前の集中力で周囲の光景、そしてここに来るまで見ていた校舎内の設備や構造を思い出す。
見落としている逃げ道、何か炎の影響を防ぐようなもの、既に常識で考えてどうにかなるようなものではない。
普通の人間が考えないような発想、フィクションの世界のような方法でもいい。
今の自分にはそれを実現するだけの力がある。
脚力、腕力、瞬発力、バランス感覚、全てが常識外れである以上、それに見合った常識外れな思考で柔軟に考える。
そんな時、ベランダから校舎とグラウンドの間にそびえ立つ1つの塔が見えた。
学校の象徴とも言うべき校旗が掲げられ、風で揺らめいている。
日も落ちて薄暗くなりかかっているのに、ハッキリとそれが見えるのはバイザーの処理能力、そして下の駐車場で待機しているWAXAや警察の明かりのためだった。
「あれだ...」
スターダストはすぐさま教室の中にいるスズカの元へと向かった。
戻ってきたスターダストに何があったのか疑問を投げかけるような表情のスズカを抱え、スターダストはベランダに再び飛び出した。
「!?キャァ!!燃えてる...!」
スズカはその光景を見て先程の爆音と地震の原因を全て悟った。
そしてスターダストだけなら可能でも自分がいれば脱出が不可能になってしまうことも。
「どうしよう...」
スターダストは震えるスズカを左手で抱えながら、右手でグングニルを取り出すと構えた。
「ここから飛び降りる。しっかり捕まって」
「無茶よ!...私はいいからあなただけでも!!」
「冗談じゃない...自分を捨てられるようになったら、もう後戻りできない。僕だけでも?僕を救いたいなら自分が死なないことだ!!」
「!?」
スターダスト=彩斗は自分が残ればスターダスト1人だけでも助かる可能性が大きいことを悟り、勇気を振り絞って自分を諦めたスズカを怒鳴りつけた。
死ぬかもしれないのに身を挺して助けてくれたミヤと重なったのだろうか。
自分も同じ選択をしようとしたからだろうか。
自分を捨てて戦う典型的なヒロイズムはその人間をダメにする。
ミヤのように確固たる意思を持った強い人間ならまだしも、自分を捨てなければならない状況で流される
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