憎悪との対峙
33 救うための勇気
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ターダストに駆け寄ってきた1人の少女がいた。
泣き出しそうで他の生徒たちと違って希望を抱くどころか絶望して真っ青な顔をしていた。
だが彼女が口を開くと、スターダスト=彩斗にもそれが伝染した。
「スズカちゃんが撃たれてる!!」
「!?」
彼女の誘導に従い、会議室の端の方で真っ青な顔に左肩を抑えて倒れている少女を発見する。
間違いなくスズカだった。
何度もテレビや雑誌で見たことのある顔だ。
見間違えるはずもなかった。
スターダストは急いで駆け寄る。
「大丈夫か!?」
「...うっ...うぅぅぅ...」
「さっき...私たちが騒いじゃった時...黙らせようとあの人たちが銃を撃って...それで...」
眼鏡の少女は動揺が激しく吃りか過呼吸のような口調で今にも吐きそうだった。
それもそのはずだ。
スズカの腕からは湧き水のように止めどなく血が流れていた。
それに激しい痛みで顔を歪ませて苦しむクラスメイトを見れば、そうならない方がどうかしている。
「君は速く行け!彼女はオレが連れて行く!」
「ハッ...ハイ!!!」
少女は口を抑え、泣きそうな声でベランダに飛び出し、非常階段を駆け下りた。
これで残っているのはスターダストとスズカのみとなる。
「見せて...大丈夫、掠っただけだ」
「うぅ?...あなたは...?」
「少し痛む。我慢して」
「うっ!?」
スターダストは壁の銃痕、そしてスズカの腕の状態を見て直撃はしていないことに安心する。
だが極度の緊張状態に長時間置かれ、体調が著しく悪い状態では何が起こるか分からない。
そして速く血を止めなくては命に関わるのは間違いなかった。
止血しながらスズカのかなり緩めたネクタイを外し、傷口を抑えるように腕に巻き付ける。
するとスズカの腕に血の気が引き、腕の神経が麻痺して冷たくなるような間隔が走り、スズカは激しく顔を歪ませた。
「止まれ...止まれ...!!」
「うぅ...あぁぁ!」
スターダストはスズカの血を止めるべく心臓より高い位置に上げ、腕を圧迫する。
それはスズカに更なる苦痛を与え、教室内に悲鳴が響き渡る。
鼓膜が破れそうだった。
だがスターダストは止めず、更に数秒圧迫し続けた。
するとスズカは不思議と痛みが引いていくのを感じた。
「ハァ...アァ...ハァ!ハァ...ハァ...」
「...止まった?」
ムズムズと痒みを感じ、収まると何処か心地よい感覚になっていく。
仕事と緊張状態で疲れきって、枯れ果てていた肉体が潤っていくかのような感覚だった。
全身が温かいもので包まれ、薄れていた意識が戻ってくる。
体が...楽になって...
スズカは飲み込めない状況だったが、不思議と回復した体調
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