第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十五日:『死体蘇生者』
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纏めて。その背中に、少女達が続く。
「すみません、友人の見舞いに来たのですが……場所が分からなくて」
「……お名前をどうぞ」
窓口で、やたら無愛想な女性看護師に見舞いに来た事を告げる。
涙子と古都の名前を告げれば、面倒臭そうにキーボードを叩き、直ぐに病棟の場所を教えて貰えた。
「……場所は、南棟の三階北側四号室と西側五号室です。それと、あまり院内では騒がないように」
「ありがとうございます、肝に銘じます」
礼を口に、南棟への連絡通路へ。その道々。
「なんだか、愛想ない人だったわね」
「全くですの、曲がりなりにも客商売でしょうに」
ぽつりと、美琴と黒子がそんな事を口にする。気持ちは解らなくないが。
「まぁ、あれだろ。他にも学生が来て騒いだんじゃないか?」
「あぅ、耳がいたい気がします……」
フォローを入れた嚆矢と、何故か身に摘まされた顔をした飾利。因みに彼女は昨日も一度、涙子を見舞ったらしい。もしかすると、その時に何かやらかしたか。
「ああ────君達」
そんな四人に、掛けられた声。若い男のものだ。見れば、確かに若い。丸眼鏡に白衣の、高身長にスレンダーな、健康的に日焼けした青年医師。
胸元には、『細胞再生科主任 西之』と有った。
「ひょっとして、例の見舞いの?」
「ええ、まあ……何か、御用で?」
白衣。今朝の夢の所為か、何時もよりもそれに嫌悪を感じてしまう。その為か、若干刺々しい口調となってしまったが、西之医師は全く気にせずに。
「やっぱりね。窓口から連絡が来てね。丁度、今から佐天さんの診療に行くところだから、案内しよう」
「本当ですか、ありがとうございます!」
「助かりますの」
「お願いします」
気さくに、正に好青年然と笑い掛けてきた彼。嫌味のないその笑顔に、少女達は警戒を解いている。
こうなってしまえば、もう嚆矢一人の感情など。
「申し遅れました、僕は西之。西之 湊。宜しくね」
「あ────はぁ……」
差し出された右手、何故か此方に。仕方なく握ったその右手は──死体のように、冷たかった。
………………
…………
……
病室の扉を潜る。ただ、一人で。ネームプレートには、『蘇峰古都』の文字。だから、一人で。
他の三人は、別の病室……涙子の病室の前で、西之医師の診察が終わるのを待っている。その待ち時間に、来たのだ。
「よう、邪魔するぞ、蘇峰」
「あ……主将」
ベッドの上、上体を起こした状態で座っていた彼に気さくに声を掛ける。元々沈んだ表情だったが、此方に気付いて更にバツの悪そうな表情になる。
──一まぁ、流石にこれでケロリとしてたら、もう一回ぶん投げる
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