ターン14 鉄砲水と負の遺産
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ができる。だから、僕に力を貸してください。僕の大切な人たちを取り返すために、僕に力をください」
以前、稲石さんに言われたことを思い出す。明確な理由もないのに漠然と強くなりたいなんて言ったって、それで強くなることはできないとかなんとか。今なら、あの質問にも答えることができる。僕が強くなりたいのは、自分のためじゃない。リターンマッチ、特に喧嘩のは好きだけど復讐なんてドロドロしたのは苦手だし、そもそもこれといって憎い奴なんていない。勝ちにこだわったときに使ったあのデッキでは、三沢をはじめとしてたくさんの人を傷つけてしまった。それもまた、僕には似合わない。
「僕は、強くなりたい。大切な人を、今ここにいる大切な時間を守るために。僕は未来を見たい。皆が帰ってきて、また笑いあえる未来を。そんな感じの未来を手に入れるために、力を貸してください」
素直な気持ちで、心に浮かんだままのことを言う。すると、それを聞いていた意志が、何か決心したかのような感情を見せる。そして、デッキトップがしだいに光りだした。最初はピンク色に近い色だったけど、どんどん赤色になっていく。いや、赤という言葉は微妙にふさわしくない。例えるならば、炎の色………それも、神々しさのある聖なる炎の色だ。
チャクチャルさんの方を見る。コクリと、満足げに頷いた。
「いくよ、ドローッ!!」
引いたカードは、僕の見たことのないカード。なかなか長い効果だったけど、読もうとする前にその効果の内容が頭の中になだれ込んできた。なるほど、この能力なら!
「僕のフィールドにはモンスターカードが存在しない」
「ああ、それがどうした!今更新しいカードを手に入れたところで、どうにかなるわけないね!」
「いいや、嬉しいのさ。僕のフィールドにモンスターが存在しないなら、このモンスターの能力が使える」
「何?場にモンスターがいないなら使える能力だって?」
ここで初めて訝しげな顔、正確には訝しげな表情の口元を見せる先代。その顔に向けてにやりと笑い、手札をばっと見せつけてやる。もっとも、これだけ距離があるとよく見えないだろうけど。
「そうさ。僕のフィールドにモンスターが存在しない時、このカードはリリースなしで通常召喚できる!これが僕の、もう1つの神!天をも焦がす神秘の炎よ、七つの海に栄光を!時械神メタイオン、降臨!」
金属の腕、金属の胴。その巨体は、チャクチャルさんに勝るとも及ばないサイズを誇る。打が何よりも印象的なのはそのサイズではなく、特徴的な顔である。全体的に鎧のような形状をしているメタイオンには首から上のパーツがなく、顔はその胴体にでっかく映し出されているような格好になっている。
時械神メタイオン 攻0
「攻撃力0、だって?」
「その通り。だけど、このメ
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