第二十二話 菊の日常その八
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「男の子みたいだったとしてもね」
「そうなるのよ」
「そうなのね、じゃあこのまま」
「成長していってね」
「おばちゃんにもなるわよ」
「おばちゃんって」
そう言われるとだ、菊は少し苦笑いになってこう述べた。
「それって何か」
「いやいや、生きているとね」
「普通におばちゃんになるから」
「女の子からレディー、そしてね」
「おばちゃんになるのよ」
「そこで奥さんは入らないのね」
菊はクラスメイト達にこう言い返した。
「そこで」
「だって。女の子でも結婚出来るからね」
「一応だけれど」
「十六歳になればね」
「奥様はね」
こちらは誰でもなれるから入らないというのだ、ただし人妻になるには相手がいることが絶対の前提である。
「だから奥さんじゃなくてね」
「それは入らないから」
「レディーからおばちゃんよ」
「ついでに言えばお母さんも入らないから」
「奥さんと一緒だから」
人妻が夫との間に子供を産めば母親になる、勿論あれこれと例外のある話だ。
「だからおばちゃんなのよ」
「レディーの次はね」
「おばちゃんねえ。何か私ね」
このことは自己分析から来る言葉だ、それも客観的に見たうえでの。
「既になってるから」
「あっ、それ禁句だから」
「女の子は女の子になった時点からおばちゃんになっていくから」
「関西の女の子はね」
「早ければ幼女の段階でね」
つまり初潮前にだ、関西では女性はおばちゃんになるというのだ。おばちゃんという存在はそこまで大きいのだ。
「なってくからね」
「私達だってね」
「おばちゃんだから」
「おばちゃんになっていってるから」
「それで私もなのね」
菊は女の子からおばちゃんになっていっていることにも気付いた。そのことは彼女にとって微妙な未来だった。
それで昼に校舎の屋上で仲間内で集まってそこで車座に座って昼食を食べている時にこの話をした、すると薊は自分で作ったそれこそラグビーボールそのままの大きさの巨大なお握りを両手で抱えて貪りながらこう言った。
「あたし別にさ」
「女の子らしいとかは?」
「ないよ」
自分でこう言うのだった、胡座をかいて海苔に覆われたそれを食べながら。
「別にさ」
「薊ちゃん女の子の雑誌とかは」
「愛読書は週刊少年サンデーだよ」
「ファッション雑誌は?」
「読んだことねえよ」
一度も、という口調での言葉だった。
「小説は読むけれどさ」
「ハーレークイーンとかそういうのは」
「ライトノベル派だよ、あたしは」
小説はこちらだというのだ。
「バカテスとかさ。あと緋弾とかのうりんとか」
「そういうのなのね」
「明るいのとかアクションが好きなんだよ、あたし」
「そこ完全に薊ちゃんね」
「自分でもそう思うさ、ま
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