第二十二話 菊の日常その七
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「だからいいのよ。ただね」
「危ないのね」
「体力使うしね」
このことは要注意だというのだ。
「私もスーツアクターはしてるけれど」
「物凄く汗かくのよね、ああしたお仕事って」
「特に夏はね。地獄よ」
「あっ、やっぱり」
「特に怪獣の着ぐるみを着るとね」
円谷関連の仕事である、かつては大映も作っていたが会社自体がなくなった。
「もう脱水症状とかね」
「あるのね」
「本当に凄いハードだから」
夏のスーツアクター、特に怪獣の着ぐるみを着るこれはだ。
「確かにお金はいいけれど」
「報酬だけに」
「そう、凄く大変だから」
「倒れることも」
「あるわよ」
実際にだ、あるというのだ。
「冗談抜きでね」
「そうなのね」
「だから滅多なことではね」
出来る仕事ではない、菊はクラスメイト達にこのことは真剣な顔で話した。その真実をありのままにである。
「出来ないわよ」
「ううん、そうなのね」
「それにしてもね」
「それにしても?」
「ええ、私が女の子らしくなったっていうけれどね」
話をここに戻すのだった。
「家族にはもう十七だからって言ったけれど」
「どうしてそうなったのか」
「そのことね」
「そう、どうしてかしら」
女の子らしくなったのなら何故かというのだ。
「それはね」
「周りの影響?」
「それとか?」
クラスメイト達は顔を見合わせてこう話した、菊の話を聞いて。
「それでね」
「菊ちゃんもね」
「女の子らしくなってきてるのよ」
「そういえば」
ここで菊も考えてみてだ、そのうえでこう言った。
「小学校五年か六年の頃から」
「その辺りからよね」
「徐々にね」
「皆が急に女の子らしくなってきて」
これまでとは違い、だ。
「皆でおトイレに行ったりひそひそと男の子とかアイドルの話をして」
「服とかもね」
「凝る様になってね」
「アクセサリーとかで飾って」
「それでそういう雑誌とか読む様になって」
「そうなってきたから」
周りがだ、菊自身ではないが。
「何かね」
「気付いたらよね」
「そうなっててね」
「うん、今じゃ私もね」
菊自身もだった、周りがそう変わっていく中にいて。
「ファッション雑誌とか読むし。アクセサリーショップとか行って」
「そうよね、だからね」
「それでよね」
「菊ちゃんもね」
「女の子になってきてるのよ」
「つまりこういうことね」
菊は腕を組んで考える顔になって述べた。
「朱に混じれば赤くなるってことね」
「そういうことよ。女の子の中にいるから」
「女の子になったのよ」
クラスメイト達も菊に笑顔で話す。
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