第三章
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第三章
少女はだ。猛を見つけるとだ。すぐに彼のところに来てこう言ってきたのだった。
「これから毎日だけれどね」
「毎日!?」
「特訓よ」
いきなりこう告げるのであった。ぶしつけにだ。
「いいわね、剣道のね」
「あの、特訓って」
「私から一本取ること」
冷徹なまでにはっきりとした言葉であった。
「わかったわね」
「一本って」
「一本取れたらよし」
雅はさらに言う。
「一本取れなかったら」
「その時は?」
「取れるまでやるから」
席に座ったままの猛を見下ろしてだ。そのうえで告げるのだった。
「わかったわね。道場でも部活でもね」
「あの、部活って」
「大学進学が決まったから問題ないから」
引退したということはどうでもいいというのであった。とにかく部活でもというのだ。雅の言葉はかなり強引なものであった。
「それでいいわね」
「断る権利は?」
「ないから」
これまた一言であった。
「そういうことだから。今日から早速ね」
「あの、ちょっと」
猛が呼び止めるのも聞かずにだ。雅はそこまで言うと足早にその場を去るのだった。彼女のクラスは彼とは別のクラスなのだ。
残された猛は呆然となった。そのうえでこうクラスメイトに言う。彼は二人の話を聞いているだけだった。その彼に対してであった。
「あの、聞いたよね」
「また無茶苦茶言ってるな」
「雅から一本って」
「御前道場の跡継ぎで全国大会でもいいとこいっただろ」
「雅は優勝だよ」
言うのはこのことだった。
「それもぶっちぎりの」
「強いか」
「直心影流の方も免許皆伝近いって言われてるし」
「跡継ぎの御前はどうなんだよ」
「まだそこまでは」
いっていないというのである。己の実力はわきまえていた。
「けれど。一本ね」
「取れるか?」
「このままだと無理だね」
ここでも己の実力をわきまえて話す彼だった。
「さて、それじゃあ」
「自分で特訓するか」
「僕だって剣道やってるし」
「負けるのは嫌か」
「やっぱりね。ちょっとやってみるよ」
こうしてであった。猛は雅から一本取ることになった。それが決まった時だ。このクラスメイトはぽつりと呟いた。
「そういえばそろそろバレンタインか。あの二人どうなんだろうな」
何気にだがこんなことを呟く。だが今の猛はそんなことは忘れて修業に専念しそのうえで雅に向かう。しかしであった。
「お、おい」
「古賀先輩強過ぎ」
「あの凄神先輩が手も足も出ないって」
「まさかあれ程までなんて」
後輩達が呆然としていた。部活の道場での戦いは一方的であった。
白い道着に黒い袴が雅だ。それに対して猛は紺色である。それですぐにわかるが紺色の方は本当に手も足もであった。
「凄神先輩だって
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