ムキムキと姉
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銭を稼ぐために来ました、…なんてもう絶対、言えない雰囲気だ…。
「おい、アーサー!こないだきたルッペン退治の依頼まわしてやれよ!あれ、ワリが良かったろう」
一人の男がアーサーに向かって叫んだ。それを聞いてアーサーは渋い顔をする。
けれど隣の男が、叫んだ男の頭をぽかりと殴る。
「この、アホぅ!ワリが良いってことはそのぶん危ねぇってことだろぉがぁ!アーサー、よしとけ。あれ、表に出してないワケありだろ?しかももうそれは誰かが受けてたじゃねぇか」
「それこそ好都合じゃねぇか!片付けまで全部済んだ頃合いを見計らって、追いかけて横取りしろ!な、サラ!安全だし、いい案だと思わねぇか?」
「いや…さすがにそれは…ちょっと…」
「おういサラ、善人ぶってる場合じゃねぇぞ。ルッペン一匹いくらか知ってるか?」
丁重にお断りしようと思ったら、隣に来た男がノリノリであたしの肩に腕を乗せ、自慢げに囁いた。
「え、知らない。いくらなの?」
思わずあたしも興味を惹かれて問い返す。
「金貨一枚」
「金貨、一枚!?」
頭の中の算盤がもの凄い勢いで弾かれる。チーン。
な、なんと!それなら高級メロンが十個は買えておつりもくるではないか!
「しかもこの依頼、何匹いるかは未確認」
「やる!やる、やります、やらせてくださいっ!」
あたしは思わず叫んでいた。
いや、まぁね!横取りするしないは別にして、ほら、先に行ってる人のす、助太刀しに行かないと!何匹もいたら一人で倒すのは大変だしね、うん。
「よし、店を出てまっすぐ北東にある森の中だ。追いかけな」
「ラジャー!」
あたしは自分に言い訳しながら、もう金貨の山が手に入ったつもりで、しまりのない顔で頷いた。
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