第九章
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あどちらも食べられるわね」
「はいっ」
その満面の笑顔でお母さんに応える純であった。
「それで食べる前にはチーズとタバスコをかけて」
「それまで同じなのか」
智哉はさらに驚くことになった。顎が外れそうになるのを何とかするのに必死な程であった。
「何てこった」
「いいわね。さらにいいわ」
その彼の目の前ではお母さんがこれまでになくにこにことしていた。本当に嬉しくて仕方ないといった顔で純の隣に立っている。
「あんた、本当にいい娘を見つけてきたわね」
「いい娘って・・・・・・んっ!?」
そしてここで気付いた。にこにこと笑う二人の顔を同時に目の中に入れて。何とそこにいるのはそっくりそのまま同じ顔をした二人だったのだ。こちらの方が親子ではないのかと思える程そっくりの顔が二つ彼の目の中にあったのであった。
その二つの顔を見てわかった。何故先程お母さんの赤い服を見てデジャヴューを覚えたか。それに時々純を見て何か前に見たような気になったのか。最初に何故純に声をかけたのか。全てがわかったのだった。
(俺はマザコンだったんだな)
心の中でまずこう呟いた。
(だからこの娘に声をかけたんだ)
そういうことだった。何から何までそっくりなこの娘に。そうだったのだ。それがわかった彼は。どういうわけか心の奥底から笑えて仕方がなかった。
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