第二部 vs.にんげん!
第24話 つじぎり!
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な。町出てく予定の仲間がまだ遺跡の中でさ、探しに行くとこなんだよ……で、それ何?」
ウェルドはアルバートが大事そうに手に持つ油紙の包みに目を落とした。
「お? これな? あれだよ。植物の種」
「種ぇ? 何するんだよ、そんなもん」
「何って、なー? お前、あれしかねぇよなー?」
「そーそー」
アルバートもボスマンも、途端にニコニコと相好を崩し、ついぞ互いの肩を叩きあい大声で笑った。
「アレだよお前、育てんだよ。園芸だよ園芸」
「はぁ? 園芸?」
ウェルドは思いっきり眉を寄せて、いかつい二人の戦士を見比べた。
「まさかその、あんた達、そのナリで園芸が趣味とかそういう系?」
「おかしいか? いいじゃねえか、なあ」
と、アルバート。
「そーそー。食えるしよぉ。アレだよアレ。趣味と実用を兼ねてってやつ」
と、ボスマン。
「サディーヤさんもいい人でさ、温室貸してくれるしな!」
「サディーヤさん?」
その名に聞き覚えがある。ウェルドは首を捻った。つい最近というわけではないが、どこかで……。
アルバートとボスマンの後ろに、男が二人立った。
ウェルドは敵意に反応し、身構え思考を止めた。
敵意は、二人の男から放たれるものだった。
アルバートとボスマンも、笑うのをやめる。
この町の冒険者ではなかった。明らかに商人でもない。堅気の人間ではないと、人相で分かる。
二人は肩当てと胸当てで武装していた。そう上等な物ではないが、外界で流通するものとしては一般的なものだ。腰には剣を佩いている。
賞金稼ぎだなと、ウェルドは結論付けた。隊商の護衛の仕事をしていた時、こういう連中を何人も見た。
二人の男はニヤニヤと、嫌な笑みを浮かべている。その目はアルバートもボスマンもウェルドも素通りし、もっと後ろを見ていた。
ウェルドもその視線を追った。
エレアノールがいた。蒼白な顔で、目には怯えを湛え、二、三、後ずさる。
「エレ――」
「ウェルド」彼女は鋭い声で遮った。
「さよなら!」
くるりと背を向けた。人ごみの中に姿を隠す。
「待てやぁ!」
賞金稼ぎの内の一人が叫んだ。男達が、ノエルを突き飛ばし、人ごみの中へとエレアノールを追っていく。
「大丈夫か!」
ウェルドはノエルを助け起こした。
「え、ええ――」
「おいおい、何か知らねぇけどヤバいんじゃねえの!?」
アルバートが言って、二人の男を追いかける。ボスマンも続いた。
人ごみがさっと割れた。追う者と追われる者達の後ろ姿が見えた。
「お、追いかけましょう!」
ウェルドはノエルの手を引いて、混雑する大通りを横切り、抜けた。路地にフリップパネルを敷く。ノエルの体を抱えてパネルを踏む。体が跳ね上がり、屋根の上に着地した。ノエルを屋根におろし、
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