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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
38.闇夜の襲撃者
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沙に何を言われるかわかんねーしな」
古城たちは自宅へと向かい歩き出した。
「そういえば、緒河先輩は一緒じゃないんですか?」
「あいつならちょっと前に帰ったぞ。多分、叶瀬のためだろうな」
「緒河先輩は、
夏音
(
カノ
)
ちゃんのためならなんでもしますからね」
それが彩斗のいいところともいえる。決して口に出すことは少ないが、影で動いていることが彼はらしい。
「そうだ、姫柊。今日は待たせちまったみたいだし、ウチで晩飯食ってくか?」
「いえ、わたしは当然のことをしただけですから」
「食ってけよその方が凪沙も喜ぶと思うし」
「それならお言葉に甘えさせていただきます」
雪菜は嬉しそうに頬を緩ませる。
余程、凪沙とご飯が食べれることが嬉しいのだろう。
「それなら凪沙に言っておかねーとな」
学生服のズボンから携帯を取り出し、凪沙に電話をする。
その時だった。
「先輩、伏せて!」
雪菜の鬼気迫る声に古城は咄嗟にその言葉に従い半ば倒れこむように伏せる。
するとそこへと濃密な魔力の塊が飛来し、古城の後方にあった建物の外壁を一撃で粉々にしたのだ。
「なんだ──!?」
あれほどの威力の魔力弾を放ったことにも驚きだが、それに第四真祖も剣巫も気づけなかったことのほうが驚きだ。
「あれ? 外しちまったか?」
この場に似つかわしくない愉しんでいるような声が暗闇に響いた。その声のした方向に古城は振り向く。
「おまえは……!?」
暗闇の中でも目立つ金髪。愉しんでいるような吊り上げられる口角。そいつは、彩海学園中等部の宿泊研修に向かうフェリーの上に突如として現れた吸血鬼だ。
金髪の少年の手には、ラ・フォリアが持っていたような呪式銃が握られていた。先ほどの魔力弾はどうやらそれで撃ったらしい。
「やっぱり、俺はこういう武器は苦手なんだよな」
金髪の少年はこの場に似つかわしくないほどに気怠そうに呪式銃を地面へと落とす。
「あなたは何者ですか?」
雪菜が古城の前へと立ち背負われているギターケースから銀の刃を握る。獅子王機関の秘密兵器、全ての魔術を無効化する破魔の槍“雪霞狼”だ。
「そう殺気立つなよな剣巫よ。どうせおまえたちはここで死ぬんだからよ」
金髪の少年が不敵な笑みを浮かべる。それは彩斗が浮かべるものとは違った。彼の笑みに古城たちは全身を震わせた。
少年が右腕をこちらへと突き出した。
「面白いもんを見せてやるよ。……っつっても見たところで意味なんてないけどな」
右腕から膨大な量の魔力が大気へと流れ出していく。爆発的な魔力は禍々しく淀みきっている。
その魔力と光景に古城たちは一歩も動けない。
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