暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
神意の祭典篇
38.闇夜の襲撃者
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るように木の陰に動くものを彩斗の視界が捉えた。

「意外でした。伝説の吸血鬼の力を持つあなただったらもっと人のことなど考えない吸血鬼(ひと)だと思ってました」

 吸血鬼の瞳が暗闇に人影を浮かび上がらせる。茶髪が肩にかかるくらいのセミロング。大きな瞳が人懐っこい印象を与える。しかし、凪沙ような人懐っこさではない。それは彼女がまとっている異様な気配のせいであろう。だが、その異様な気配を言葉にすることはできない。ヴァトラーのように戦闘を愉しんでいるわけでもなく、いままで絃神島を襲ってきたオイスタッハや黒死皇派たちのように明確な目的を持っている感じもしない。
 一言でいえば、不明という言葉が一番合う。
 彩斗は茶髪の少女を睨む。

「その眼です。それでこそ“神意の暁(オリスブラッド)”です」

「……やっぱりか」

 彼女はやはり彩斗がなにものかわかっていて接触してきたということだ。

「それで俺に何の用だ」

 茶髪の少女はわずかに顔を強張らせて武術のような構えをとる。
 わずかに身体を横にし、左手を前へと突き出し、右手を胸のあたりまで後ろに引いている。

「あなたの実力見定めさせてもらいます」

 茶髪の少女のとった構えに彩斗は既視感(デジャブ)を覚えた。どこかでその構えを見たことがあったような気がした。
 意識が彼女から逸れた一瞬だった。彼女が視界から刹那のうちに消え去り、彩斗の懐にいきなり現れたのだ。

「───ッ!!」

 彼女の掌底を回避することはこの距離ではできない。それなら回避ではなく防御するしかない。左腕に魔力の塊を纏わせ放たれた掌底を阻む。
 例えただの呪力を纏ったのだとしても真祖クラスの吸血鬼の魔力障壁を砕くことはできないはずだ。
 そう、できないはずだった……

「瞬虎──ッ!」

 茶髪の少女が叫んだ言葉に彩斗は驚愕する。予想だにしていなかったことに左腕へと集中していた魔力の障壁に歪みが生じる。
 彼女の掌底はそれがわかっていたかのでもいうように的確に魔力が消滅した部分へと刺しこまれる。

「グハ───ッ!!」

 鋭い刃へと変貌した掌底が左腕へと突き刺さる。その攻撃は打撃というよりは斬撃に近い形だった。
 わずかに後退したがギリギリで持ちこたえる。

「あの攻撃を受け止めますか。やはり“神意の暁(オリスブラッド)”ともあれば一撃では無理でしたか」

 茶髪の少女は顔色一つ変えずに言ったのだ。彼女は“神意の暁(オリスブラッド)”を一撃で仕留める気だったのだ。そんなことできるはずがない。しかし、彩斗の左腕には彼女が放った掌底の痛みが強く残っている。真祖に並び立ち、真祖を殺す伝説の吸血鬼である“神意の暁(オリスブラッド)”の超回復を持ってしてでもこ
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