第3章 揺れる想い
3-1 すれ違い
すれ違い
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る大会。仲良しのお兄ちゃんの事が気にならないの?」
マユミは表情を曇らせた。「別に……仲良しなんかじゃないから」
「母さん10時頃には家を出るから」
「あたしその前に出かける」
「もう、勝手にしなさい」
しばらく黙ったままトーストをかじっていたマユミが唐突に口を開いた。「そう言えば、ケン兄が外国人を明日連れてくるって本当?」
「そうなのよ。ホームステイをうちで引き受ける事になってね。何でもケンジの学校に部活留学でやってきている男の子らしいわよ」
「ケニーくんの事かな……」
「なに? あんた知ってるの?」
「うん。一度会った事がある。街で」
「そう。カナダの全国中学生大会で三位だったとか言う子だって?」
「そうなの? 凄いんだね、あの人」
「帰国前の三日間、うちにホームステイ事になったらしいわ」
マユミは驚いて顔を上げた。
「み、三日間も?!」
「そうなのよ。二泊三日」母親はため息をついて続けた。「英語なんてみんなしゃべれないのに、どうしろっていうのかしらね」
「それは心配いらないよ」
「なんで?」
「その人日本語ぺらぺらだから」
「そう。良かった……」
「じゃ、じゃあ、ケニーくん、二晩もケン兄の部屋に泊まるわけ?」
「あんたの部屋に泊めるわけにはいかないでしょっ」
「最低……」
「なに? あんたその男の子を部屋に泊めたいわけ?」
「そんなわけないでしょ! もう、ほんっとに最低」
◆
その大会では、ケンジは全く冴えない記録しか出せず、解散前のミーティングでは、監督教師やコーチは逆に心配して彼をわざわざ部員から離れたところまで呼び、声をかけた。
「まるで別人のようだったぞ、海棠」
「すみません……」ケンジはうつむいていた。
「明らかにメンタル的な問題だな」コーチが腕組みをして言った。「心配事があるんなら、相談に乗ってやってもいいが……」
「い、いえ、大丈夫です。必ず来週には復活します。約束します」ケンジは目を上げて言った。
「ま、おまえのことだから、よほどのことでもない限り、今日のような調子を引きずるとは思えんが……」
監督の教師はケンジの肩に手を置いて続けた。「来週になってもこんな感じだったら、何か手を打たなきゃな」
その監督の鋭い眼差しが、ケンジの目を射貫き、ケンジは一瞬肩をびくつかせ動揺した。
ケンジが部員たちの集団に戻ると、マネージャのアヤカが心配そうな顔でケンジに近づいた。
「海棠君……」
ケンジは言葉もなくため息をついた。
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「何かあったの? 今日の記録……」
ケンジは無理して微笑み、その視線を受け止めた。「大丈夫。ただ調子が悪かっただけさ」
「にしても、フォームも精彩を欠いてたし、表情も冴えないみた
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