第4話「怖いものは人それぞれ」
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「……ん」
ゆっくり目を開ける。少し眩しい光が射しこみ、意識と同時にさっきまでの記憶が蘇る。
廃病院の調査を依頼され、双葉と周り、それから……。
――俺どうしたんだ…
ゆっくり横を見ると、紅く染まった瓦礫が頭の後ろにあった。
夥しい量の血は地面まで赤く染めていた。
――なんでこんな真っ赤?
すると、動かしそうとした身体に激痛が走る。その痛みで直前の出来事をようやく思い出した。
――ああ、そっか。落ちたんだっけか。
頭の打ちどころが悪かったのか、身体が思うように動かない。それどころか半端でない量の出血をしているのに、痛みすら感じない。
――俺まさか……
――死んじまったのか?
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「兄者っ!」
声がする。
自分を呼ぶ声。
おぼろげな視界の中に、崩れる瓦礫の上を登って、急いでこっちに向かってくる双葉がいた。
「兄者!兄者!しっかりしろ!!返事を……いや、しなくていい。動くな」
今までの冷めた表情とは一転して焦った姿。
目の前にいる双葉は、冷や汗を流し必死に呼びかけている。
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――双葉……。お前……なんでそんなビビってんだ。……駄目だ。まぶたが重てェ……
また頭がぼんやりしてきた。
眼の前にいる双葉の声に答えたい。だができそうにない。
自分の意思とは反対に、重たいまぶたが目を覆っていく。自分の目が閉じていくほど、双葉の不安が大きくなるのも知らずに。
そして――
「…………」
銀時は動かなくなった。
「やだ……いやだ……。兄者……。兄者ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
双葉の悲痛な叫びに応えるものは誰もいなかった。
=終=
「?」
手のひらに違和感。
べっとりとついた赤い液体を、双葉は指でなぞってみた。
血にしては少し粘着がある。いや、血というよりこれは……。
「絵の具?」
「……うぇ」
途端にまぶたがパッチリ開いた。確かに血の独特な臭いもしない。
なら、なぜこんな所に絵の具が?
「うわぁ、派手に崩れたな〜」
「あの〜大丈夫ですか?」
さっきの血まみれの女の子と見知らぬ男の子が、心配そうに銀時と双葉を見下ろしていた。
それから子供たちは、謝りながら事情を話してくれた。どうやら一連の怪現象はこの子たちの仕業だったようだ。
* * *
「つまりオメーらはこの爺さんのために脅か
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