第三十二話 風紀委員と風鈴と
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「常に鳴るところは避けたほうが良いよ」
「え、何でですか?」
佐天さんが俺の注意にすぐ反応する。
「ずっと鳴り続けてると、逆にイライラの原因になるから」
「あー、確かにずっと鳴り続けてたらイライラするかも……」
俺が答えるとすぐに佐天さんも納得してくれたようだ。
「それなら、今取り付けた風鈴ってベストポジションじゃないですか」
「一応その辺のことも考えて吊るしたからね」
「わぁー、風鈴のお兄ちゃんすごーい」
思い出したかのように鳴り始めた風鈴の音を聞きながら、初春さんの言葉に答えたら、鞄の女の子からも褒められた。しかも俺は「風鈴のお兄ちゃん」になったようだ。
俺が風鈴を飾って以降ずっと、初春さんと白井さんは他の支部との連絡や通常のジャッジメントの仕事をこなして、俺と佐天さんで女の子の相手をして遊んでいる。
「固法先輩、鞄が見つかったんですの?」
遊ぶネタが尽きてきたのでどうしようかと悩んでいたら、突如電話を受けていた白井さんが声を上げた。
「見つかったんですか?」
「ええ、そのようですわ」
「この子の鞄ですか?」
「ええ、そうですわ」
初春さんと佐天さんが矢継ぎ早に尋ねると、見つかったのはこの子の鞄で間違いなさそうである。
「鞄、見つかったんだって。良かったねー」
「うんっ!」
佐天さんがそれを女の子に伝えると、嬉しそうに返事をしていた。
初春さんと白井さんが急いで他の支部へ鞄が見つかったことを報告し、皆で固法さんが鞄を見つけたという公園に行ってみると、ピンクの鞄を持った固法さんとベンチに座って力尽きている御坂さんを見つけた。綺麗な夕焼けで辺りがオレンジ色になっていることもあって、御坂さんはまるで某ボクシング漫画の灰になった主人公のようである。
「はい、もう無くしちゃ駄目よ」
鞄を持っている固法さんに女の子が駆け寄ると、固法さんはそう言ってから鞄を渡す。
「うん!」
「お疲れ様です、固法先輩」
「さすが固法先輩ですの」
女の子が元気に返事をしたところで俺達も合流し、初春さんと白井さんが固法さんを労う。
「お疲れ様でーす、私達も付いて来ちゃいましたー」
佐天さんがついでとばかりに挨拶をするが、俺は会釈をするにとどめておいた。
「あら、貴方たちまで来たの。まあいいけど。それから、鞄を見つけたのは私じゃなくて、彼女よ」
固法さんが指差したのは当然ながら御坂さんである。
「やっぱり御坂さんも探してたんですねぇ」
「はぁ、お姉さまったら……というか、なぜあのようなびしょびしょのぬれぬれに?」
「彼女ね、噴水に飛び込んでまで鞄を守ってくれたのよ
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