第三十二話 風紀委員と風鈴と
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んですか。まぁ、それならうちに飾らせてもらいますね」
「それでは私も……まぁ、お姉さまの許可を貰ってからですが、部屋に飾らせていただきますの」
追加で説明することにより何とか納得してもらったが、白井さんの「お姉さま」という言葉にふと思い出す。
「あっ、そう言えば、その御坂さん。固法さんに連れられてジャッジメントの研修とかやってたんだけど、御坂さんもジャッジメントになるの? それとも、臨時とか応援?」
「御坂さんが!?」
「え……お姉さまが? そのような話など……あっ!!」
「………………あっ!!」
俺が尋ねると真っ先に驚いたのが佐天さんで、白井さんと初春さんは何やら考えた後で二人ほぼ同時に声を上げた。
二人から話を聞くと、初春さんが外回りをしていた時に御坂さんと出会って、ファミレスでパフェを食べながらお喋りしようとした所に、白井さんがやってきて初春さんは強制的にジャッジメントの仕事に連れ戻されたらしい。しかし、その後ジャッジメントの腕章がないことに気付いて探したもののファミレスにはなく、恐らく御坂さんがその腕章を持っていったのだろうということだった。しかも、御坂さんは白井さんから色々お小言を言われたことが気に障っていたらしく、初春さんの腕章を持ってジャッジメントの真似事をしているのだろうと推測したのである。
「いや、でもさ。いくら腕章があるからっていっても、見たことない人が「研修中の新人です」って言ってきたところですんなり通るものなのか?」
「た……確かに」
「その辺は固法先輩に聞いてみませんと分かりませんわね」
俺の疑問には二人とも答えることが出来ないまま、結局固法さんに話を聞いてみないことには分からないという結論に落ち着いたのである。
「よーし、この辺で良いかな」
エアコンの吹き出し口付近にあるつり看板に風鈴をくくりつけると、風鈴の涼しげな音が響きだす。エアコンの風が直接当たらないように場所を考えたので常に鳴り続けるわけではなく、時折気が向いたように鳴る程度のものである。
「わぁー、いい音ー」
鞄の女の子が最初に声をあげる。初春さんに膝枕されてさっきまで眠っていたのだが、ちょうど目を覚まして俺が風鈴を取り付けるのを見ていたのだ。
「何となく涼しく感じますねー」
「風流というものですわねぇ」
「いやー、やっぱり風鈴の音って落ち着くねー」
初春さんと白井さん、そして佐天さんもそれぞれ感想を述べる。
「帰ったら絶対に飾りますね」
「そうだねー、こんな音がするんだったらずーっと鳴ってる位置に飾っときたいねー」
初春さんと佐天さんがそんなことを言っているのだが、一言注意しておく。
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