第三十二話 風紀委員と風鈴と
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に向かう。もう少し「何これ! まるで本物のメロン使ってるみたいじゃないかっ!」みたいになることを期待していたのだが、残念ながら学園都市でもカキ氷のシロップは全く変わらないんだなぁと少しがっかりしてしまった。
「まぁ、普通に美味しいんだけどね」
ベンチに座ってなぜか独り言を言ってしまいながらカキ氷を食べる。この暑さとここまで歩いて来たことによる疲労が相まって、冷たいカキ氷がとても美味しく感じられる。
「そう言えば、風鈴とかいいよな」
しばらく普通にカキ氷を食べていたのだが、カキ氷屋に吊るされていた風鈴をふと思い出して呟いた。かき氷屋に吊るされていたのは江戸風鈴っぽいガラス製の風鈴だったが、俺としては出来れば南部鉄の風鈴が欲しいところだ。
思い立ったが吉日とばかりに、ほとんど溶けて微細氷入りのメロンジュースになってしまったカキ氷を飲み干し、カップやストローをゴミ箱に放り込むとホームセンターへ向かって歩き出す。以前、ポリカーボネイトの三角定規やチタン合金のコンパスを買ったところである。
ホームセンターで風鈴を探し南部鉄の風鈴を数種類購入して寮に戻ると、早速風鈴を吊るして扇風機を当てる。全ての風鈴の音を聞き比べて一番良い音がするものを飾り付けると、二番目に良い音がする風鈴は台所に飾り付けておき、それ以外を箱に戻した。
取り敢えず使わない風鈴を袋に入れて外に出る。4つあるので佐天さんと初春さん、そして常盤台の二人にも一つずつ配ろうかと思ったのである。しかし、よく考えてみれば常盤台の二人は同じ部屋に住んでいるので、二つ風鈴を貰っても意味がないだろうということに後で気付いた。
寮の敷地から通学路に出るとちょうど佐天さんが歩いてくる。
「あ、神代君」
「お、やっと補習終わったのか」
「あはは……、まぁね」
何とか補習は切り抜けられたようである。
「ちょうどいい所に、……これあげる」
「何これ……風鈴?」
「うん、ちょっとした涼しさのプレゼント」
佐天さんに風鈴を渡し、俺が風鈴を持っていた理由を話しつつ歩いていたら、佐天さんの寮の前を通り過ぎてしまった。
「あれ、通り過ぎたけど……」
「あー、直接初春のところへ行こうかと思って」
「そうなんだ」
俺が指摘すると佐天さんはまたジャッジメントの支部にお邪魔するということなので、便乗して俺もそのままついていくことにした。恐らくジャッジメントの支部には初春さんと白井さんが居るはずなので、そのまま風鈴を渡してしまえばいいだろう。ついでと言ってはいけないのかもしれないが、余る風鈴もジャッジメントの支部に飾ってもらうか、もしくは固法さんに渡せば良いだろう。
「おじゃましまーす」
ごく普通に入
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