第三十二話 風紀委員と風鈴と
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御坂さんの気配がしたもんで来てみたんです」
「気配? そんなのが分かるの!? ……あっ、神代君なら分かるのか」
俺が答えると固法さんが一度驚いた後で納得した。確か昨日はそんな話とかしていないはずなのだが、初春さんや佐天さん、もしくは白井さん辺りから聞いているのだろうか。
「あ、固法先輩も知ってるんですね」
俺に余り話をさせたくないのか、御坂さんが会話に入ってきた。
「ええ、ちょっと前にあった常盤台狩り事件の時にね。御坂さんも知ってるんでしょ? 神代君と神代さんのこと」
「え……ええ、まぁ」
眉毛女事件のことを出されて御坂さんがうろたえる。これはどう見ても完全に、藪をつついて蛇を出したという状態である。
「それで、その時は神代さんだったんだけど、犯行現場に居合わせてね。その時に、見えない犯人を気配で気付いてた、っていうのをうちの支部に所属してるジャッジメントの二人から聞いたの。その二人とは知り合いらしいから御坂さんも知ってるんじゃないかしら?」
「まぁ……一応は……」
固法さんの説明で御坂さんが曖昧に答える。御坂さんとしてはとにかくこの話題を広げたくないのだろう。そして、俺の気配察知に関してはやはりあの二人から聞いていたのだ。しかし、この前の常盤台の寮で白井さん宛ての宅配便を寮監さんに受け取ってもらった時の事を思い出しているのだろうか、ここにきて御坂さんからの「何も言うなよコラ!」オーラが凄いことになっている。流石にこの状態の御坂さんの前では「御坂さんもその事件で一緒に解決したから知ってますよ」なんてとても言えそうにない。
「それで神代君、今御坂さんはジャッジメントの研修中だからおしゃべりはまた今度で良いかな?」
「あ、はい。すいませんね、お仕事中に。それではお仕事頑張って下さい」
御坂さんの精神力がガリガリと削られてきたところで、固法さんからやんわりと「仕事の邪魔しないでね」の注意を受けたので、俺はここで抜けることにした。少しかき回したら面白いかもしれないとは思ったものの、今後のストーリー展開に変な影響を与えても困るのでそれはやめておく。御坂さんのほうは心底ほっとした表情だ。
「じゃ、またね」
「うん、またね」
御坂さんとも挨拶を交わした後で、俺はカキ氷を求めて歩き出したのである。
「メロン一つお願いします」
いそべ銀行前の広場でカキ氷屋さんを見つけたので注文をする。カツンッカツンッといった感じの微妙な風鈴の音を聞きながら待つことしばし、鮮やかな緑色をしたカキ氷を受け取りつつ代金を支払った。
「ありがとうございましたー」
先がスプーン状になったストローでカキ氷を一口、氷のシャリシャリした食感を楽しみつつベンチ
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