第2話「BGMは空気読んで選曲しろ」
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う相手の声は聞こえない。それでも電話の悲鳴が耳に残り、荒い息が止まらなかった。
「兄者まで錯乱してどうする」
「錯乱せずにいられるかァァァ!怪奇ボイスのオンパレードじゃァァァ!!お前こんなのと話してたのかよォォ!!」
一人喚く銀時を半ば呆れた様に冷めた眼で眺め、双葉は深々と溜息をもらした。
「……やはり兄者は帰った方がいい」
「一人で帰れるか!大体よぉなんで俺ばっかビ、ビビ……決めたァ!オメェのビビり顔見るまで絶対ェ帰んねーからな」
銀時はビシッと双葉を指差して断言した。
カッコよく決めているつもりらしいが、言っていることは何とも情けない。そんな外見と中身がミスマッチしている銀時の主張に、双葉は少しはにかんだ笑みを見せた。
「なら二度と帰れないな」
「なんだ。その余裕っぷり超ムカつくな。チクショー次行くぞ!」
「この先で失神するなよ。背負って帰るのだけは御免だ」
「誰がブッ倒れるかァ。俺の心にはバズーカあんだよ。悪霊退散できる威力持ってんだよ。それで一発ブチこんでやるよ」
幽霊って実体ないだろ、と直後に双葉のツッコミが入ったのは言うまでもない。
次に出くわした怪現象は『血だらけの階段』。
血まみれ階段の暗闇から、子供の不気味な笑い声が聞こえる。
「コレ!」
「声だけではな。しかし姿も見せないとは臆病で情けない腰抜けな奴だ」
「………」
何か言ってやりたいが、言葉が出てこない。口を噛みしめて先に進むことにした。
「次!」
お次の階は廊下の窓の外に出現した。
赤い人魂と舌をベロベロ出して眼がイっちゃってる物体が空を浮遊している。
完全にお化けとしか思えない。銀時は逃げたいくらいだが、「フラフラ飛んでるだけか」と双葉は冷静に見つめて呟くだけだった。
「可愛い……」
「あ?」
「いや、なんでもない」
「……次!」
そのまま歩き続けようとした。
だが、非常階段に通じるドアの下で、黒い『何かが』うごめいた。
銀時の心臓がドキリと高鳴り、足が止まる。何事かとソワソワしていると、双葉の懐中電灯がうごめく正体を照らした。
「なっ!」
それは歪んだ形相の洋風人形だった。
手にするエグいナイフが懐中電灯の光によってキラリと輝く。
「チャイルドォォォォォォォォォォォォ!?」
【ハァーーイ♪待ってたよ〜】
裂かれた口を目元まで引きつらせ、洋風人形は坂田兄妹へ刃をむき出しに突進してきた。
そして跳躍。銀時に鋭いナイフを向ける。銀時は反射的に腕を顔面に据えるが、それでは攻撃を防ぎきれない。
その様を見た洋風人形の口元がさらに歪み、ナイフが振り下ろされ――
“バコッ”
人肉を引き裂く代わりに、別の音が廊下に響いた。
疑問に思いながら目を開けると、洋風人形を
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