第三話***妖精の尻尾
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X786年 フィオーレ地方 マグノリア
「ここが妖精の尻尾……」
クウヤは目の前の建物を見上げ、隣に居る青年に尋ねた。
「ですよね?」
「ああ……」
青年ーーーーマックスは頷く。
クウヤの言う事も解る。
妖精の尻尾はボロい。
信じられない程にボロい。
自分もクウヤと同じ立場なら同じ疑問を持っただろう。
しかし、一応妖精の尻尾の魔導士として傷付いたし、悲しくもあった。
取り敢えずは、
(気にしない、気にしないぞ)
と自分を鼓舞し、重いーーーー重厚なのではなく、ただ単に古くて重いだけだーーーー扉を押す。
そして、狭い酒場ゆえ、張り上げなくとも届くのだが、声を張り上げた。
「帰ったぞーーーー加入希望者連れて来た」
「お帰りマックスーーーー加入希望者?ナツもエルザも居ないのよ」
マックスの言葉に紫髪の女性ーーーーラキが答える。
「話が違うって怒り出したりしないかしら?」
「大丈夫」
ラキの疑問にマックスが答える。
「どっちにしろーーーーな。少し特殊だし」
道中、マックスはクウヤの話を聞き、何があったのかを知っていた。
神使い関連は知らないが。
「あら、この子?ーーーー可愛い子じゃないの、ロメオと同じ位かしらね」
緑髪のビスカが頬を染める。
ビスカの夫のアルザックが後ろから覗き込んだ。
「君、名前は?幾つだ?魔法は?ーーーーどうしたんだ?」
クウヤは実際も八歳だし、どう見ても十代には見えない。
そんな少年がギルド加入等、あまり無い。……妖精の((テイル))には十代未満に加入した者もそこそこ居るが、それも、一応は理由があった。
その為何かあったのかと思い、訪うたのだ。
「クウヤ・フォーグル、八歳。空気を操る魔法を使う。ーーーー村が奴隷商に襲われて一人だけ逃げたんだとーーーーこんな小さい男の子一人、放り出す気はないよな、ギルドマスター?」
マックスが代わりに答え、カウンターを仰いだ。
「ああ、別にいいだろう」
マスター補佐とマスターが頷く。
焦点を合わせて、クウヤは目を輝かせた。
「わ、わわーーーー」
「?どうしたんだ?」
アルザックがマックスを仰ぐ。
「あか……同系統の魔法を使うからかな」
クウヤはマスター補佐のワカバに突撃した。
「ワカバ・ミネさん!憧れてました!よろしくお願いします!」
ワカバは嬉しそうに目を細める。
「おおそうか、よろしくな」
マックスは少し微妙な気持ちで答えた。
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