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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆仲間の死を糧に
第四十九話 新生《月夜の黒猫団》
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っていうのはどうですか」
 シリカの折衷案に、マルバとサチは賛成した。そろそろ夕飯時になるので、夕食係のマルバとシリカは買出しに出かける。この二人はあいかわらずひっぱりだこである。


「お、お二人さン、探したゾ」
 買出しの帰り。鼻濁音の混じる特徴的な声に、二人は呼び止められた。情報屋アルゴだ。
「アルゴさん、こんばんは。この前の情報は助かりました。今日はどうしたんですか?」
「キリ坊から伝言ダ。あいつ――ミズキのことで話があるってサ」
 マルバとシリカは顔を見合わせた。ミズキは死んだことになっているが、実際のところ、彼が死ぬところを――すなわち彼のアバターが消去されるのを――見た者はだれもいない。彼は戦闘中に外部要因により回線を切断され死亡したと推測されているが、実際のところは誰にも分からないのだ。
「ミズキについて……なにか分かったのか」
「いや、そうじゃあないらしいナ。ミズキと関係があるプレイヤーが見つかったそうだヨ。……そのプレイヤーについては3000コルだナ」
「アルゴ、君ちょっと最近情報料上げすぎでしょ……。前だったらプレイヤーの情報、そんなにしなかったのに」
「このご時世じゃ、仕方ないんだヨ」
 そういって彼女はため息をついた。そう、彼女も七十五層以上の最上層まで上がってきた以上、もう下層に戻ることは叶わないのだ。最上層では情報の価値と同時に入手の難易度も上がっているので、必然的に情報の価格も上がらざるを得ないということだ。
「プレイヤーの情報は買わないでおくよ。キリトに今日の夜でもいいかって聞いてくれない?」
「お安い御用だヨ。具体的には200コルだネ」
 七十五層以前の価格に比べればひどいぼったくりである。マルバが200コルをアルゴに押し付けると、アルゴはにししと笑った。
「毎度アリ。これに懲りたらちゃんとフレンド登録しとくんだナー」
 七十五層攻略後、システムのバグによりフレンド登録が完全に初期化されてしまい、マルバたちも未だ連絡がとれない知り合いが結構いる。再会次第フレンド申請するように気をつけてはいるものの、ついつい忘れてしまうのだ。キリトもそのうちの一人である。今度会ったら忘れずにフレンド申請しなくては、とマルバは心に決めた。
「大丈夫だそうだヨ。相当急ぎみたいだったネ。早く行ってあげなヨ」
 アルゴと別れると、シリカとマルバは急いで拠点を目指した。
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