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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆奇跡
第四十六話 再生
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努めた。
「私の知ってることはこれくらいね。分かった? 大丈夫?」
「お、おーけーおーけー。なんとか理解した」
 ミドリはこめかみあたりをぐりぐりしながら、シノンの話を頭のなかに刷り込んだ。頭のなかで情報を整理する。その結果、処理しきれなかった疑問のうち最大のものが頭から溢れ出した。すなわち。
「で、何故俺はここにいる」
「さあ? 私はメディキュボイドの試験運転してたら、バグで吸い込まれたみたいだけれど。あなたはどうなんでしょうね? どこまで憶えてる?」
「うーん……。ええと……、やべぇなこりゃ。なんにも憶えてねぇ」
「私もしばらく何も思い出せなかったわ。もしかしたらあなたも私と同じでメディキュボイドから入ってきたのかもね。私は十日前にこの街の天井から降ってきたんだけど、あなたも二日前に降ってきたのよ。それで私と同様にあの黒ずくめに助けられたわけ。私はすぐ気がついたけれど、あなたは二日間ずっと目を覚まさなかったから、あいつも心配してたわよ」

 黒ずくめ、という単語にミドリは首をかしげた。一体誰のことなのか……尋ねようと口を開いたとき、まさにその黒ずくめがドアから顔を覗かせた。
「キリト、彼が目を覚ましたわ」
 シノンがその黒ずくめ――キリトという名のようだ――に声をかける。キリトはベッドに腰掛けるミドリを見て、一瞬不自然に固まった。
「あんたが俺を助けてくれたんだってな、すまねぇな」
 ミドリが口を開くと、キリトは更に目を丸くした。シノンが固まったキリトを不審そうに見る。
「なに固まってるのよ」
「あ……いや、悪い、きっと気のせいだ。……ええと、初めまして。俺はキリト」
「ミドリだ、よろしく。シノンから事情を聞いたぜ、世話になったな」
「いや、気にしなくていい。それより身体の具合はどうだ? 二日も寝っぱなしだったから心配してたんだ」
「ああ、大丈夫だ……たぶん」
 ミドリは肩を回すが、どうもその動きがぎこちない。キリトはそれを見て、ミドリに外出したらどうかと提案した。
「どうせしばらく住むことになるだろうし、街を歩きまわってくるといいよ。街の外に出なければ危険はないし」
「ああ、そうさせてもらう。悪いが、地図かあったらくれねぇかな。自慢じゃねぇが、方向感覚は人並み以下なんだ」
「ほんと自慢にならないわよ……。キリト、どうせ暇だから私がミドリを案内するわ。今日はまだ宿を取るよりここに居たほうがいいでしょうから、エギルさんに話をつけておいて貰えるかしら」
「ああ、それくらいなら任せろ。それじゃ、俺はエギルと話したらあとフィールドに行ってくるけど、危ないから外には出るなよ」
「分かってるわよ」
 ほら、いきましょ、と声をかけると、シノンはさっさと歩いて行く。ミドリはその後ろを慌てて追いかけた。
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