第十章
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のならそれは『自称』最強打線である。実に滑稽であり愚劣な打線の名前であるがこれが世に出る不思議現象が起こすのも日本なのだ。
「全然駄目ですよね、あんなの」
「巨人は巨人よ」
お母さんの嫌いなものはまず巨人なのだ。
「センスなんてないのよ。名前にも」
「そうですよね。それに対して我が阪神は」
「ダイナマイト打線」
阪神タイガースというチームの代名詞である。終戦直後に名付けられた名前である。碌に食べ物もない時代に阪神は打ちまくった。そしてこの名前は昭和六十年の優勝の時にも復活している。まさに阪神そのものといってもいいのがこのダイナマイト打線という名前なのだ。
「あとJFK」
「いいネーミングですよね」
「巨人の偽物の打線なんかとは違うわ」
この言葉はその通りであった。わからないのは卑しい顔立ちをして巨人ばかり褒めしゃもじを持って喚き散らし人様の御飯を漁るだけの無芸大食の自称落語家だけである。世の中知能も人格も卑しいことこのうえない輩もいるということである。これもまた怪奇現象であろうか。
「あんなものとはね」
「阪神は打線が本当じゃないですしね」
「流石ね」
今の言葉もお母さんの心の琴線に触れるものであった。
「そうよ、阪神の真髄は」
「ピッチャーですね」
これがわかっているかわかっていないかで本当の阪神ファンかそうでないかがわかるという。阪神は伝統的にどんなチームかを。
「やっぱり」
「そう、ピッチャーよ」
お母さんの目が光った。
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