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優しさをずっと
第八章
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 こう断言した先生だった。
「今で。平生先生」
「むっ!?」
「貴方は本日付で懲戒免職です」
「なっ!?」
 これには流石の平生も驚いた。
「校長、御冗談を」
「冗談ではありませんよ」
 やはり静かだが確かな言葉であった。
「冗談でこの様なことは言いません」
「なっ、そんな・・・・・・」
「貴方に対して刑事告訴も出ています」
 校長先生はこのことも平生に告げた。
「県警もこれを受理したとのことです。既に確かな証拠も届けられています」
「ねえ先生」
 校長先生の話を聞いて生徒達は阿倍先生に尋ねた。
「どうなるんですか、それで」
「平生先生は」
「少なくとももう君達の前に姿を現わすことはない」
 子供がわからないであろう複雑な事情はオブラートに包んだ。
「それだけだよ」
「それだけですか」
「間も無く裁判所への出頭要請が届くでしょう」
「しかしですね、校長」
 平生はここで見苦しく言い逃れをはじめた。
「俺・・・・・・いえ私はしがない一教師ですよ」
「元教師ですね」
 校長先生も容赦がない。
「本日付で懲戒免職ですから」
「あの、それでは仕事は」
「ありません」
 厳然な返答であった。
「懲戒免職なのですから」
「家族もいますが」
「生徒達にも家族がいます」
 校長先生もまた退かない。
「貴方はそれはわかっていましたか?」
「うっ・・・・・・」
「わかっていませんでしたね」
 校長先生の姿勢も表情も変わらない。しかしその声はさらに厳しくなっていました。
「貴方は自分だけの人です」 
 そしてまた言うのだった。
「だから彼等のことはわからなかったのです。優しささえも」
「この連中はですね」
 生徒達を指差してそれでも足掻く。

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