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宇宙を駆ける一角獣 無限航路二次小説
第三章 四話 激突宇宙
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ベクサ紛争では持ってきた資源で随分と甘い汁を吸ったのである。金蔓のその後くらい知っておいてもいいだろうということである。

「…少々早くないか」

「なんでもルッキオ軍の暴動分子を鎮圧するという名目でエルメッツァ中央政府が動いたらしい。艦隊引き連れて示威行為というやつだ」

「大義名分は整っているというわけか。うまくやったものだな」

「エルメッツァ政府の連中は権力で遊んでないで商売人にでも鞍替えすればいいのだ。あの才覚なら政治なんぞに手を出さずとも一時代作れるだろうに」

皮肉を言いながらも白野の脳内には今後の打算が渦を巻いていた。まず、ユーリ少年との接触案である。
ベクサ紛争が終わった以上次に来ることになるのは此れから行くファズ・マティであろう。そこでならば会えるやも知れぬ。会ってどうするかは考えていなかった。まあお互い0Gドッグである。利害が一致すれば共闘でもなんでもできるだろう。
というか、そろそろ原作云々どうでもよくなってきた。学生の甘い願望は消え去り宇宙を泳ぎ回った歴戦の0Gドッグの感性が今の彼の行動原理である。
力無き者は死ぬ。それが宇宙の掟。
問題は十年くらいすれば宇宙全体が未曾有の危機に見舞われることである。多くの者がふるいにかけられるだろう。果たして人類はどのくらい生き延びることやら。

「まあいい。何時も通りやるだけだ」

誰にも聞かれることなく呟いた白野は、指揮席の操艦ハンドルに軽く触れると瞑目した。



惑星ネロ 改装工廠
サウザーン級巡洋艦【バルバロッサ】

ユニコーンやバウンゼィがスイングバイでスルーした惑星ネロの改装工廠では、エルメッツァ正規軍の正式採用巡洋艦サウザーン級が船体の各所に火花を散らせて改装作業を行っていた。
それを工廠のキャットウォークから遠目に見やる少年が一人。
黒い空間服にスークリフブレードを下げたその少年の名は【ユーリ】と言った。

「よお、ユーリ!どうだ、デフレクターは載っけられたか?」

そのユーリ少年の方に歩いてくるぽっちゃりした少年【トーロ・アダ】は火花を散らすバルバロッサを見て「おお、すげえすげえ」と感心する。

「もうすぐできるそうだよ」

「そんじゃ、とっととファズ・マティでバルフォスのヤローをとっちめようぜ!」

意気込むトーロ。ユーリも同じく意気込む。

「そうだね。スカーバレルみたいな海賊は放っておけない。ティータのお兄さんのこともある。必ず倒そう」

「おう!」

二人の少年は語り合う。彼らの未来にはまだまだ無限の沃野が広がっているのである。

続く


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