第三章 四話 激突宇宙
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だ!いや、そもそも俺たちゃ海賊は辞めたんだ!」
半ば命乞いの通信であったが、ギリアスも狂犬ではない。降参するというなら手出しはしない。しかし、しっかり主砲の照準は駆逐艦のブリッジ付近に向けたままである。
「海賊を辞めたぁ?そいつはどういうこった」
ギリアスの疑問も最もである。今、スカーバレルという【商売】は最高に景気がいい。エルメッツァ中央政府の軍隊が役に立たないからである。略奪、暴行なんでもし放題。力のみがものを言う世紀末的状況でそれを辞める旨味はあまりない。
その疑問に、バウンゼィの主砲に恐れ慄きつつスカーバレル駆逐艦の艦長は答えた。
「お、俺たちはルッキオ軍に参加するんだ。艦を持ってエントリーすれば相当の手当てがあるらしい……わ、わかったよな?も、もう行っていいよな?」
震え声である。哀れではあった。
「運のいい奴だ…俺は今、ちょっくら急いでる。とっとと消えな。俺の気が変わらねぇうちにな」
駆逐艦の艦長は涙目になって通信を切った。そして、モニターに映る駆逐艦は急速転進すると一目散に逃げ出して行ったのである。主砲の射程内から駆逐艦が出て行ったことを確認すると、ギリアスは再びファズ・マティを目指す。
「待ってろよぉ、海賊共。俺が行って片付けてやるからな」
モニターの星図に映るファズ・マティにギリアスは戦闘意欲に燃えた熱い視線を送った。
*
ユニコーン ブリッジ
快速で鳴らすユニコーンは、惑星ルッキオを出た後凄まじい巡航速度で惑星ドゥンガの上空に到達していた。所謂出戻りであるが今回はドゥンガには停泊しない。一直線にファズ・マティを目指すつもりである。
「ゲイケット、惑星の重力圏を利用してスイングバイを行う」
「了解」
一流の0Gドッグともなれば、エクシード航法のみならず惑星の重力を利用して加速を行うこと程度朝飯前にやってのける。
スイングバイは惑星の有する重力を利用して船体の軌道及び速度を変化させることの出来る技術である。
かつて、地球において人類が宇宙に進出する技術を開発した黎明期において、このスイングバイ技術は遠い宇宙の彼方へ無人探査機を送る際の燃料節約と探査機器搭載スペース確保のため積極的に行われた。
スイングバイには加速、減速、軌道調整などの種類があるが、加速する場合は惑星の公転軌道後方に突入する必要がある。
さらに、スイングバイ時に宇宙船の推進力を併用するパワードスイングバイと呼ばれる手法もあり、白野は今回これを使う。
「惑星ドゥンガの公転軌道計算完了。突入、行けるぞ」
「よし、突入」
ユニコーンはブースターで加速しつつドゥンガの公転軌道後方へと突入する。
惑星の重力、さらに自身のエクシード航法によりユニコーンは最高速度を叩き
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