第三章 四話 激突宇宙
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惑星ルッキオ 酒場
クルーを求めてエルメッツァを旅していた白野は、最近世間を騒がせているルッキオとアルデスタの両国の間で勃発した紛争の漁夫の利を得るべく、紛争で資源が不足しているであろうルッキオへと前回停泊したドゥンガから商用でやってきていた。
やってきていたと言ってもその方面の交渉を担当するのは主計のバウトである。大マゼランでのタフな交渉をこなしてきた彼ならば、現在ユニコーンにストックされている商用の資源を最大限の利益で売り込んでくれるだろう。
そして白野はその結果を待つために酒場にいたのである。
本来ならばグラスをゆっくり傾けながら料理を注文して吉報をリラックスして待つ予定だったのだが、世の中そうそう予定通りにはいかないものらしく血気盛んなルッキオ人青年達が激論を近くのテーブルで交わしておりリラックスどころではなかった。
議論の内容は国益だのなんだの、白野のような0Gドッグにはまったく無縁のものであった。
国民に害を及ぼす国家などとっとと滅びてしまえばいい、というのが0Gドッグの国家に対する意見の最大公約数的見解である。国家が消え去っても国民と惑星は残る。人の集団の名詞として【国家】が存在するのであって人の存在意義が国家にあるなどという政治家の常套句は0Gドッグにとって冷笑の対象なのである。
それはともかく、若く血気盛んなルッキオ人青年達の議論は白野が運ばれてきたジャーマンポテトを食べている間にどんどん過激になってきていた。
曰く、現在のルッキオ代表のオオハラ氏はアテにならぬので排斥して俺たちで新しくルッキオを立て直そう、とのことである。
勇ましい限りだが実現性の面で見ると頼りない限りである。
「マスター、スルメはあるか?」
「はい、お持ちします」
白野がジャーマンポテトを平らげツマミを注文した頃になると、青年達は居ても立ってもいられなくなったのかガタガタと音を立てて椅子から立ち上がると徒党を組んで酒場から出て行った。
暴動でも起こしそうな勢いである。まさか丸腰で行政府に殴り込んだりはするまいが、他人事ながら心配である。
「やあ、艦長」
白野がスルメも平らげた頃、ようやくバウトが酒場にやってきた。表情からするに交渉は成功したらしい。
「来たな。首尾はどうだった」
「大成功です。国有企業の連中から搾り取れるだけ搾り取りました」
満面の笑みで愛用のソロヴァンを見せてくるバウト。その金額表示項目には20500Gの表示があった。破格も破格である。
バウトはルッキオの国有企業から比喩抜きで搾り取ったに違いない。
「上出来だ。よくやってくれた。ボーナスも付けておこう」
「期待しておきましょう。それよりも、交渉の場でさらに面白い情報が聞けたんですよ」
そう言いながら、白
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