オーバーロード編
第3話 “黒鹿毛”
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「トモ」
「亮二さん……」
「ドライバー、貸してくれ」
多勢に無勢で、あわや頭上を取られかけた鎧武を、ブラーボではない3人目のアーマードライダーが救った。鎧武に上から襲いかかろうとしたインベスを、薙刀の投擲で打ち落としたのだ。
『お前、黒、影……? 初瀬!?』
黒いライドウェアに乳白色の鎧。黒影と白鹿毛を混ぜたようなデザインの鎧をまとった初瀬が、そこにいた。
『黒影じゃねえ』
かつて黒影だったライダーは、キャッチした薙刀を振りながら前に出ると、烈しく、轟然と名乗りを挙げた。
『俺は、アーマードライダー黒鹿毛だ!!』
黒鹿毛は薙刀を構えて、地上にいるほうのインベスへと立ち向かっていった。
『と……とりあえず!』
鎧武は火縄DJ大橙銃をスクラッチして連射モードに切り替え、空にいるインベスの群れを掃討した。
地上にいたライオンインベスとカマキリインベスは、
《 アーモンドオーレ 》
『でやぁ!』
黒鹿毛の薙刀から放たれた剣風によって、2体同時に爆散したところだった。
『は〜、やるぅ。――おおい、大丈夫か、城乃内、オッサ……』
ふり返ったそこには、黒鹿毛以外の誰もいなかった。
『いない? え? え?』
『城乃内ならシャルモンのハゲオヤジが連れて帰ったぞ』
初瀬が変身を解いた。紘汰も慌ててそれに続いて、ロックシードを閉じて変身解除した。
「そうだ! おま、初瀬、そのロックシード! それって巴ちゃんのじゃねえかよ」
「ああ、借りた。こいつなら誰でも変身できるっていうし。でも俺、ロックシード持ってなかったからさ。ロックシードごと借りた」
「へ、へえ」
紘汰は驚きを隠せなかった。あの初瀬亮二が、アーマードライダーであることに拘っていた初瀬が、こうも淡々と語っている。
そして何より驚いたのが、初瀬が城乃内のピンチに出て来たことだった。
「よかったのか、初瀬。城乃内とちゃんと話さないで」
ビートライダーズ間で行き交う噂では、初瀬と城乃内は盟友だったが城乃内が裏切ったということになっている。腹を割った話し合いをすべきではないのか。
「いいんだよ。あいつはあいつで、今いるとこでちゃんとやれてるって分かったし」
初瀬は伸びをした。
「ん〜、久しぶりに変身したから堪えたなあ。明日、筋肉痛かこりゃあ。ヤだな〜」
「あ〜……」
「んじゃ俺も行くわ。トモの奴、待たせちまってるからな。機会があったらまた会おうぜ」
どこまでも明け透けなまま去って行った初瀬に、紘汰は呆気に取られっぱなしだった。
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