オーバーロード編
第2話 紘汰と初瀬の相談会
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くれるとでも思うのか!”
戒斗の主張を思い出して、また憂鬱になった。
話してみなければ分からない、強い弱いは問題ではない。そう返した紘汰こそが、その答えに全く自信を持っていなかった。
(本当にこれ、俺の手に負えるのか?)
負えないのではないか、負えるはずない。三段活用的に自分の中のメーターが落ちて行き、底を突く、ちょうどその寸前。ドルーパーズに新しい客が入ってきた。
何となく顔を上げ、紘汰はその二人連れの客にぎょっとした。
レイドワイルドを辞めたともっぱらの噂の初瀬亮二と、中学生ストリートダンサーの関口巴が、腕を組んで紘汰を見返していた。
男女が腕を組んでいる。その関係を推し量れないほど紘汰も物知らずではなかった。二人の年齢差を考えれば物言いはつけたくなるが。
ぐるぐると考え込んでいると、初瀬と巴は顔を見合わせた。巴が初瀬の腕から腕を解いた。
「外で適当に時間を潰してきます」
「――ああ」
巴は平安貴族のような黒髪を翻し、店を出て行った。
初瀬は巴を見送ってから、紘汰のいる席の正面にどかっと腰を下ろした。注文を取りに来たイヨに、初瀬はストロベリーパフェを頼んでから、紘汰をじとりと見た。
「辛気臭ぇ顔して何があったんだよ」
「……そんなひでぇ顔してるか? 俺」
「丸分かり」
ほとんど親交のない初瀬に見破られるなら相当だろう。落ち込んだからといって、チームのガレージに行かなくてよかった。
「前に俺に勝った時の威勢はどこ行ったよ。ビートライダーズ、そんなに楽しくねえか?」
「いや、俺はもう辞めた――部外者だから。それに」
「もう一つのこと」の部外者である初瀬にどこまで言っていいのか。言葉を選びあぐねる。
その間に初瀬注文のストロベリーパフェが来て、初瀬がそれを食べ始めた。
「……みんなに隠し事をしてる。それが後ろめたいんだ」
悩みに悩んで答えたのに、初瀬はざっくりと返してきた。
「隠し事の一つや二つ、誰にだってあんだろ。いくら仲良くなろうがダチだろうが言えないもんは言えない。それが当たり前だろ?」
「けど、みんなにも知る権利はあるんだっ」
「お前は?」
急に話題の矛先を自分に向けられ、紘汰は困惑した。
「お前はどうなんだよ。知られたくないと思ったとして、お前の『知られないでいる権利』は誰が尊重してくれんだ? お前自身しかいないだろ」
「あ…」
初瀬は再びパフェにかぶりつく。
「それでも話すってんなら、相手は選べよ。ちゃんとお前の秘密を一緒にしょってくれる奴にしとけ。俺が言えるのはそんだけだ」
初瀬の言葉には重みと実感があった。
「お前は、誰かにしょってもらってんのか?」
「
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