ユグドラシル編
第12話 白鹿毛vsマリカ! 取り戻すために
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?」
碧沙の顔から笑みが消えた。
「ちょっと……検査疲れ。別に変なことされてるわけじゃないから。これも人類の未来のためだと思えば、軽いものよ」
「それは碧沙が望んでされてることなの?」
碧沙は答えなかった。巴には分かった。碧沙自身はそれらの「検査」を望んではいないのだと。
巴は大きく息を吸い、吐いた。そして決然と碧沙を見上げた。
「――あなたが望んでないことを強いるのなら、わたしは何もかも捨てて、碧沙を攫って世界の果てまででも逃げてやるわ」
あの日の別れで言えなかったこと。関口巴は人類70億より呉島碧沙一人を想っているというまぎれもない事実を、伝えた。
「えっ――巴、が?」
「わたしと一緒は、いや?」
「そんなことない! でも、巴は…巴はかっこよくて、優しくて。そんな巴が、わたしなんかのためだけに何もかも捨てるなんて絶対だめ!」
人生で初めて受ける賛辞の数々に赤面するが、恥ずかしがってばかりもいられない。
「そんなことない。碧沙はわたしみたいに意地っ張りでも冷たくもないし、いつも笑ってみんなを幸せにしてて。そんな碧沙だから、わたしだって憧れた。一方的な片想いだったのに、碧沙は友達になってくれた。だからわたしも、碧沙が苦しい時は助けてあげたいのよ」
碧沙が胸の上に両手を持ってきて縮こまっている。――押せている。
「わたしがあなたの盾になる。わたしがあなたの剣になる。だから痛い思いも苦しい思いもしなくていい。あなたが笑っていられる世界に行く。わたしは、わたしはそのためにアーマードライダーになったのよ!」
「とも、え…っ」
「一緒にここを出ましょう、碧沙!!」
碧沙は手摺を飛び越え、巴に向かって飛び降りた。
巴は自分と同じくらいの体格の少女を強く受け止めた。抱き留めた碧沙に重さは感じなかった。碧沙は本当に天女なのかもしれない。
「巴……トモ、トモ…!」
「ヘキサ……」
巴に擦り寄る碧沙に、限りない大切さを感じた。
そんな二人のふれあいを、唐突な拍手が終わらせた。
「友情復活おめでとう。呉島碧沙さん。関口巴さん」
「湊、さん」
碧沙が怯えた表情で巴に縋りつく。
「でもあなたはユグドラシルのプロジェクトにとって大切な存在。それが分かっていてここを出るの?」
「わたし…わたしは…ユグドラシルのやり方に反対だからっ。わたしと裕也さんがいればそれをやめてくれると思ったから! でも、やめてくれなかった。だからわたし、もう…!」
「もうこちらの要求は呑めない、というわけ」
耀子がこちらへと歩いてくる。顔には貼りつけたような笑み。シドや凌馬のそれよりよほど恐ろしい貌。
「一度引き受けたことを投げ出すのは、大人の世界では
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